半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

2022-01-01から1年間の記事一覧

『海の地政学』

海の地政学 海軍提督が語る歴史と戦略 (ハヤカワ文庫NF)作者:ジェイムズ スタヴリディス早川書房Amazonアメリカの海軍提の回想録。地政学、という言葉から連想される「総論」的な話ではなかった。マハンのシーパワー。マッキンダー。ハウスホーファーのラン…

植村直己『青春を山に賭けて』

青春を山に賭けて作者:植村 直己文藝春秋Amazonコロナ禍になってから、郊外・山間部の古民家山荘で、焚き火をしたりすることが増えた。 それにつれて、アウトドア的なものにも興味がいたり、焚き火・キャンプグッズを爆買いしたりもした。 のだが、登山は、…

『ビジネス書ベストセラーを100冊読んでわかった成功の黄金律』

ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律作者:堀元見徳間書店Amazonメタ自己啓発という言葉で紹介されていたこの記事がめっぽう面白かった。 honeshabri.hatenablog.comこの記事で冒頭に紹介されていたのがこの本。これ、基本的には、自…

いろいろ啓蒙される『目の見えない人は世界をどう見えているのか』『四角形の歴史』

読み味という点で、共通点があった。 目の見えない人は世界をどう見えているのか 目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書)作者:伊藤 亜紗光文社Amazon目の見えない人は、世界をどう認識しているのか。私は目の見えない人は知人にいない。ちなみ…

『観光立国の正体』

観光立国の正体 (新潮新書)作者:藻谷 浩介 / 山田 桂一郎新潮社Amazonスイスの観光のあり方をロールモデルとして紹介。 スイスは、イギリスが「大英帝国」が経済発展し、イギリスの貴族階級の間で「登山」が流行った時代に、インバウンドに成功した。 スイス…

『働くことの人類学』

働くことの人類学【活字版】 仕事と自由をめぐる8つの対話作者:松村 圭一郎株式会社黒鳥社Amazon民俗学、比較人類学の話ではあるのだが、今の正調は文明とは少し違う伝統社会における、「仕事」に関する考え方を紹介している。 これが、めっぽう面白い。我々…

"Love for Sale" 内田春菊

LOVE FOR SALE ~俺様のお値段~ 4巻作者:内田春菊電書バトAmazon女流作家が主人公。バリバリ仕事をしているのだけれど、年下の彼氏がいたりする。 年下の彼、その1:自意識過剰で行動の伴わない癖に嫉妬深い。セックスはうまい、その2:駆け出しホストで自…

『日本人だけが知らない戦争論』苫米地英人

日本人だけが知らない戦争論作者:苫米地英人フォレスト出版Amazonこの人のこと、正直よくわからないし、読み味はあまり好きな感じではないのですよねえ。 とはいえ、国内のコモンセンスとしての戦争への漠然としたイメージは、もはや時代遅れ。 国際社会の戦…

『異類婚姻譚』本谷有希子

異類婚姻譚 (講談社文庫)作者:本谷有希子講談社Amazonなんだか、とりとめのない話ではあるけれども、これ芥川賞なんですね。 読み終えるのに、結構時間がかかってしまった。かなり近い二人の人間関係の、言語化できないモヤモヤの部分ってあるよね。 もし僕…

『音大崩壊』

音大崩壊~音楽教育を救うたった2つのアプローチ~作者:大内孝夫ヤマハミュージックメディアAmazonなんかSNSをみていて出てきたので、買った。私立の音大は既存のスキームのままでは経営危機に陥るリスクがある。 新しい時代に対して、どうしたらいいのか。 …

『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』麻布競馬場

この部屋から東京タワーは永遠に見えない (集英社単行本)作者:麻布競馬場集英社AmazonTwitterの麻布競馬場氏の本。 twitter.com東京にいる人々の人生の振り返りの独白という体裁の小説。 『Twitter文学』と称されるが、140字ごとで段落になっているため、リ…

『ひろしのぼっちキャンプ』

ヒロシのぼっちキャンプ Season1 [DVD]ヒロシAmazon去年から古民家にて焚き火をしたり、集まってキャンプ的な料理をしたりしている。 去年はコロナによる大閉鎖時代という感じだったので、いろんな人を呼んで賑やかに「陽キャ」キャンプであった。(もっとも…

『ルールを変える思考法』川上量生

ルールを変える思考法 (角川EPUB選書)作者:川上 量生KADOKAWAAmazon角川ドワンゴ、ニコニコ動画の川上氏の経営論(俺はこう考えてるぜ、的なやつ)。 一言でいうと、渦中の状態から少し時間が経っているのである程度冷静に俯瞰できてよかった。以下、備…

『歴史学者という病』本郷和人

歴史学者という病 (講談社現代新書)作者:本郷和人講談社Amazon現役の歴史学者、国立史料編纂所で研究、編纂活動されている方の忌憚なき本。 (帯に『ぜんぶ、言っちゃうね』とある)。著者の生い立ちから研究者へ、そして研究者としてのキャリアをナラティブ…

『ダチョウはアホだが役に立つ』塚本康浩

ダチョウはアホだが役に立つ (幻冬舎単行本)作者:塚本康浩幻冬舎Amazon京都府立大学の名物学長、塚本先生の入門書。タイトル、語り口、章立て、すべて、全然興味ない人に聴いてもらうのに、すごく良く出来てる。 全くの素人の人に、ダチョウという鳥に興味を…

『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』

プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる (幻冬舎単行本)作者:尾原和啓幻冬舎AmazonSNS時代の売り方、プロセスエコノミーについての教科書的な本。とでもいうべきか。 だいぶ読了するまでに時間がかかった。人もモノも埋もれる時代の、新しい稼ぎ方。プ…

『勉強の哲学 来たるべきバカのために』

勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版 (文春文庫)作者:千葉 雅也文藝春秋Amazonビジネス書とか、自己啓発の本は「どういう風に効率よく勉強するか」ということを書いてある。 つまり”How to Study”の本。これが大部分。しかし、この本は「勉強とはどう…

『あなたの給料が上がらない不都合な理由』

あなたの給料が上がらない不都合な理由 (扶桑社BOOKS)作者:上念 司扶桑社Amazon 平易な言葉で、社会人初心者の方に、世の中の仕組みを教示するタイプの本。・経営者は、会社を継続する責任があるので、社員の給料は簡単にはあげられない。 ・給料、さげ…

『老人力』

最近 NoteというWebサービスにジャズに関する記事をちまちまと書いているのですが、 ちょっと前にこういうのを書いたわけです。note.comで、以前に読んだことがある赤瀬川原平の「老人力」を再読してみた。正直にいって、赤瀬川原平氏は他に優れた著作もいろ…

『ルワンダ内戦』

ルワンダ内戦作者:山崎雅弘六角堂出版Amazon少し前に、『ルワンダ中央銀行総裁日記』という古典的名著の感想を書いたが、 halfboileddoc.hatenablog.com服部氏が赴任していたころから十数年後、ルワンダ内戦が起こる。 フツ族とツチ族の凄惨な殺し合いで、一…

『しょせん他人事ですから』

しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~ 1 (黒蜜コミックス)作者:左藤真通,富士屋カツヒト,清水陽平白泉社AmazonTwitterとかの漫画サイト紹介とかでちょっと面白そうだったので読んでみた。 上手な絵柄。ドラマ化とかもされそうなプロッティン…

『印象派で「近代」を読む 光のモネから、ゴッホの闇へ』

印象派で「近代」を読む 光のモネから、ゴッホの闇へ (NHK出版新書)作者:中野 京子NHK出版Amazon近代絵画の話は、人間がいかに対象物を見ているのか、という根源的な問題の相克であったりするので、好きだ。 「神は細部に宿る」というが、視覚と現実の乖…

『人の砂漠』沢木耕太郎

人の砂漠 (新潮文庫)作者:耕太郎, 沢木新潮社Amazon僕が留年して学年をすべりおりた同回で実習が一緒だった綺麗な女子に借りたんだっけか。 沢木耕太郎の『深夜特急』はそんなのが経緯で読んだ。 僕自身は海外視点のない人間だったので(当時も今も)あまり…

『人間はどこまで耐えられるのか?』

人間はどこまで耐えられるのか (河出文庫)作者:フランセス・アッシュクロフト河出書房新社Amazonこれも随分前に読んだ本。出たのは2002年となんと20年前。 イギリスの生理学の教授の方が、一般向けに書いた本。人間、いろんな環境で、どこまで耐えられるのか…

『タモリ学 タモリにとってタモリとは何か?』

タモリ学 タモリにとって「タモリ」とは何か? (文庫ぎんが堂)作者:戸部田誠(てれびのスキマ)イースト・プレスAmazonちょっと前に読んだこれ。 タモリさんについて書かれた本。考えてみれば、なぜ日本国民は「タモリ」という人間をお茶の間のアイコンとし…

ルワンダ中央銀行総裁日記

ルワンダ中央銀行総裁日記 [増補版] (中公新書)作者:服部正也中央公論新社Amazon古典的名著と言われているこれ、ちょっと前に読んだ。 日本銀行の筆者が、国連の依頼をうけて、独立したばかりのルワンダの中央銀行の総裁を命ぜられてルワンダ中央銀行総裁を…

『東京どこに住む?』

東京どこに住む? 住所格差と人生格差 (朝日新書)作者:速水 健朗朝日新聞出版Amazon読み切っていない本を忘却の彼方に葬り去るのには気が引ける。 なので、Kindleの読みかけの本をずっとiPadのダウンロード済入れていると、耐え難いほど動作が重くなってきた…

「おばちゃんたちのいるところ」

おばちゃんたちのいるところ Where The Wild Ladies Are (中公文庫)作者:松田青子中央公論新社Amazon松田青子さんについては、今まで何冊か読んではきていた。halfboileddoc.hatenablog.com halfboileddoc.hatenablog.comんー、なんといいますか、不思議な読…

村上春樹『職業としての小説家』

職業としての小説家 (新潮文庫)作者:春樹, 村上新潮社Amazon我々は小説家ではないが、小説家が小説家のありようについて語るというのは、 結局自分の職業について語ること、と普遍化できると思う。以前、村上春樹が趣味のランニングとマラソンについて書いた…

『田舎はいやらしい』

「それってあなたの感想ですよね(笑)」大賞!田舎はいやらしい~地域活性化は本当に必要か?~ (光文社新書)作者:花房 尚作光文社Amazonタイトルですべてを言い表しているのだが、東京でも仕事してた知的職業階層の人。 田舎に引っ込んで、過疎地域の人々…