半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『海の地政学』

アメリカの海軍提の回想録。

地政学、という言葉から連想される「総論」的な話ではなかった。

マハンのシーパワー。マッキンダーハウスホーファーランドパワー論。
伝統的な地政学では、こういう話をしてゆくわけである。

ところで、地政学って、学問的厳密さはなくて、「トンデモ科学」の類に近いものらしいね。
少なくとも理系の学問のような普遍性の追求はなくて、その意味では、経営学の「学問」的なものに似ている。
経済学は数理モデルに基づいた論理構成を行う、れっきとした学問ではあるが、ビジネス書の多くに溢れている
経営学」「自己啓発」とかは、学問的な厳密性や反証可能性には欠けているのは事実だ。

タイトルの「地政学」という言葉にややナーバスな態度をとってしまったけれども、どちらかというと、この本は海軍体験に基づいた実地体験の話が多くて、提督の回想録という体裁である。

もと海軍提督によるナビゲーション。
大西洋・太平洋、インド洋、地中海、南シナ海カリブ海北極海にわけて、国際情勢と問題点を、テンポ良く、ガイド。
考えてみれば、贅沢な話である。

大西洋・太平洋、インド洋、地球海くらいまでは今までの知識の復習という感じだったが、カリブ海北極海については、あまり馴染みがなかったので勉強になった。カリブ海の国々については、アメリカのお膝元であるに関わらず有効な開発や問題解決がなされていないんだね。
北極海は、地球温暖化と最近の世界情勢を踏まえて紹介されており、これはこれでいい話だった。