半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

「おばちゃんたちのいるところ」

松田青子さんについては、今まで何冊か読んではきていた。

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んー、なんといいますか、不思議な読み味。
「怪獣たちのいるところ」という絵本があるが、あれを少しひねって「おばちゃんたちのいるところ」

一言でいうと、ジェンダーの問題とか、男性と女性の世界の視点のズレ、みたいなものを、明晰にぶった斬る、というわけではなく、差異を差異として、描き出している、という感じだろうか。

男の世界と女の世界は、現世の世界と怪異の世界との違いくらい違う。
ということか。

でも男の世界と女の世界は日常で地続きである。そのように、この小説世界では、怪異の世界と日常が出現する。それも、日常と地続きのテンションで。
連作短編のようであり、今ひとつ輪郭が不鮮明であり。なんだか全体にぼんやりしているのだけれども、これはあくまで作者が意図的にそういう作りにしているわけで、そのぼんやりした怪異と日常との地続き感が、不思議な読後感になっていると思った。
怪異の話なのに、風のない日曜日の午後のようなぬるっとした空気。
シリアスでもなくどことなくユーモラスな世界。
メッセージ性がなさそうである。あるようであいまい。なんやろこれ。
もやもやする(悪い意味じゃなく)。