コロナ禍になってから、郊外・山間部の古民家山荘で、焚き火をしたりすることが増えた。
それにつれて、アウトドア的なものにも興味がいたり、焚き火・キャンプグッズを爆買いしたりもした。
のだが、登山は、実際にハードルが高すぎるので、まあ遠慮しますよね。
しかし『神々の山嶺』『岳』とか読んだりして(全部漫画かい)
すげーなーという気にもなったりし、しかしやっぱり山怖いやん、改めて思ったりもした。
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ということで、伝説のクライマー・冒険家、植村直己の若い頃の自伝。
私は、経営者つながりで、鳥取から東京まで手広く医療・介護事業を手がけている「こうほうえん」の廣江さんと知り合いなのだが(彼が代表となっていた経営セミナーに参加していた)が、氏と植村直己氏は明治大学の山岳部の同期。
時折、破天荒な昔話を聞かせていただいていたのである。
その縁もあり、この本にたどり着いた。
残念ながらこの本を書いた時の植村直己氏は、5大陸最高峰単独踏破に興味の中心が向いていたのだろう。
学生時代の山岳部での生活は「通り過ぎた過去」という感じでわずかしか触れられていなかった。
しかし、これを読んで改めて植村氏の異能ぶりがわかった。
我々は、植村直己氏が先鞭をつけた「世界を冒険する」行為を、メディアが消費しつくして手垢がついてしまった時代*1を経ているわけだけど、彼は誰も注目していない中でこういうことを始めたわけだ。完全に酔狂のレベルだったわけである。
グローバル化なんてどこ吹く風のオイルショック前の冷戦時代。
登山に対する理解もない時代*2。
お金もない中、当然、TVクルーなどの同行もなく5大陸に行き、クライミング単独行。
別にお金があるわけではないから、フランスのスキー場でアルバイト。
出稼ぎに来ているバイトのフランス人に混じって、遊びもせず、言葉も通じず、酒も食も倹約した生活。
屈辱や孤独に耐えて、旅費を貯める日々。
言葉も通じず、完全に異邦人としてアフリカへ行き、アンデスに行き、アラスカにゆく。
全く痛快な冒険記ではある。