トランプさんがアメリカの大統領となったが、その前に読んでいた本。
おそらくトランプだろうがハリスだろうが、アメリカの大戦略はかわりない。
本書の内容は比較的シンプルで、
- パックス・アメリカーナの時代は、アメリカが自国の利益を度外視して世界が平和でありつづけるためのコストを支払っていた。
- 冷戦後の世界の平和によって国際的なサプライチェーンが形成され、それにより移動・交易のコストが劇的にさがり、東アジア・東南アジアを中心に多くの国が平和から得られる利益を享受した
- だが、アメリカはその力を失いつつあるし、そもそもそういうインセンティブもない。
- 従ってアメリカは国際的な平和を維持するのを止める。となると世界はブロック経済化する。
- アメリカ本国は天然資源も豊かであり、人的資源も豊富であり、その体制になってもさほど困らない。
ではどうなるかというと、おそらく中国と東南アジア諸国については不利益を被る。
特に中国に関してはおそらく国体を維持することが不可能になるのではないかという予想だ。
では日本は…というと、被害は限定的であるように思われるが、ただ食糧問題に関してはかなり脆弱であるらしい。
興味深い本であるので、ぜひ手にとってみられると面白いのではないかと思われる。
各分野について、それぞれの地方のそれぞれの国についての注意点などが書かれている。
私は医療系の人間で、完全にドメスティックなので、直接業務には関係しないが、国際交易を行なっているメーカー系の会社であれば、目を通しても損はないのではないかと思った。
ただ、本書は地政学的を重視するあまり、インターネットなどで世界がフラットにつながっている現状を過小評価しすぎているようには感じたけれども。