広島県も非常事態宣言に入ってしまいましたねー。
というわけで、前回のエントリは西洋の独裁政治についてでしたが、専制政治の本場はむしろ東洋やん。
中国の歴史についての本。
ちょっと前に「皇帝達の中国史」というのを読んでみましたけれども、これは専制政治が所与の状態のなかで、中国皇帝がどういう行動をとっているか、みたいな話だった。
halfboileddoc.hatenablog.com
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この本は、どちらかというと世界システム論の中の中国史という位置づけ。
システム論について、こちらをどうぞ。
halfboileddoc.hatenablog.com
システム論は、地政学とかとも一部重なるところがあると思うが、深く世界史や現代政治を理解するためには押さえておいたほうがいいんでしょうね。
以下、備忘録:
・内陸部と沿岸部の相克
・文明は農耕民と遊牧民の交流地帯から生まれた(互いの産物の交易が出発点)
・黄河文明とオリエントとの関係
・漢王朝の平和な時代→気候変動により10分の一に激減した三国志の時代
・三国時代 「邨」の出現
・多元国家としての唐時代
・温暖化→寒冷化による影響 モンゴル帝国によって活況を呈したユーラシア世界→寒冷化・疫病の影響をうける
・「中華思想」の時代と対比して「China among Equals」の時代
・明:貨幣経済の否定、現物主義、農耕世界だけの分離・独立
たまたま、西洋独裁の歴史の次に取り上げたが、この本は、ユーラシア大陸東部のシステム論という趣きであり、なぜ中国では専制政治しか取り合えないのかという答えにはなっていない。
厳密にいえば、中国では統合された専制政治と、地方が分断された分権政治の状態(China among Equals)を繰り返す。
中原の政治体制は、そもそもがネットワークハブとして成立(洛陽のあたりは封建政治として単体として成立するのは難しいらしい)した出自を持つがゆえに、周辺国の統合指向が強くそれゆえに中央集権体制が繰り返し出現するようだ。
ただ、中原を中心に周辺地域を統一国家として運営するには、民主主義制度の意思決定速度では運用できないのだろう。
専制政治は、皇帝の資質に多分に依存するものの、意思決定そのものは迅速にできるわけで、特に前近代においてはその意思決定のスピードが、欠くべからざる要素として必要だったんだろう。
さて、この経緯を踏まえて、現代中国の政治体制を、どう評価するか。
かりにもし中国が民主化されるとしたら、ICTを極限まで利用し、民主主義にあるまじき決裁スピードを実装したものしか存立が許されないと思う。