半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『皇帝たちの中国史』

オススメ度 80点
中立の視点で軽くDisる度 100点

皇帝たちの中国史

皇帝たちの中国史

国史の研究者による、中国の歴史の概括。

中華文明の成り立ちや中国人の縁故社会の成因などについて、研究者の視点で、口語でわかりやすく語っている。

後漢から三国志(魏呉蜀)時代で、人口が10分の1になっていることなど。
孔子
貧困からなる盗賊集団など「野蛮人」で、それなら「異民族」の方がまし、という発想。
王朝交代で、周辺民族と結託し、中央に引き入れる形で王朝交代がなされるという歴史の理由。
地方の統治は、請負制。中央からは経費も出さないが、徴税の制度も自由。
広大な平野なので、旱魃になると、大規模な旱魃になる。
洛陽・長安は東西南北の交通の十字路、商業の中心地として栄えたが、農産物が豊かに収穫できる地域ではない。

歴史的事実を教科書的に羅列する、というよりは、現代中国人の思考様式のルーツになるような中国の歴史上のイベントにおける思考様式を紹介しているような感じ。
面白いし、おそらく事実なんだが「中国人ってこういう考え方をしているんですよ!」というやつは、いわゆる嫌韓・嫌中の人たちの言説のリソースになっている点でいささか気に掛かる。(この本はそういう嫌中本ではないのだが、援用されてしまいそうな危うさがある)