半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『迷宮歴史倶楽部』モリナガ・ヨウ

オススメ度 70点
これはリアル書籍の方がいいと思う度 100点

迷宮歴史倶楽部 戦時下日本の事物画報

迷宮歴史倶楽部 戦時下日本の事物画報

なんかよくわからないいきさつでKindleのライブラリーに収まってた本。
日替わりセールだったのかな?

戦時中の文物に対するイラストブックみたいなもの。
図鑑とでもいうのだろうか?
細かい絵がびっしり!

近いものとしては、宮崎駿の雑想ノート・妄想ノート(紅の豚の原作『飛行艇時代』が収載されているやつだ)が思い浮かぶ。

宮崎駿の雑想ノート

宮崎駿の雑想ノート

泥まみれの虎―宮崎駿の妄想ノート

泥まみれの虎―宮崎駿の妄想ノート

あれに読み味は極めて近い。

もっとも、確信に満ちた宮崎駿氏の筆致に比べ、この方の描写は、びっくりとか困惑とか、へーそうなの?いう自画像が多い。
お人柄だと思う。
絵柄も宮崎駿氏よりももう少しのほほんとしていて、可愛らしい感じ。

戦時中の出来事に対するイラストではあるが、殺伐とした描写はなく、どちらかといえば太平洋戦争前期の描写が多かった。
末期の昭和19年、20年あたりは、いろいろ悲惨なことも増えてくるけど、現代にその悲惨さを伝えうるものはあまり残っていないのかもしれない。
まあ硫黄島とか、古戦場跡にいけば、殺伐とした光景も想起されるのかもしれないが、意図的に避けているのかもしれなかった。

掩蔽砲台・照空船・掩体壕、窓に貼る紙(空襲対策)、哨舎など、いろいろ凝った情報が、楽しい。
多分総力戦で社会が崩壊していくことを描きたいんじゃなくて、今はなき大正末から昭和初期の時代を描きたかったんだと思う。

『偉くない「私」が一番自由』米原万里・佐藤優

オススメ度 80点
いいものをみせてもらったなあと感じた度 100点

ロシアといえば、今なら「外務省のラスプーチン」と言われた佐藤優この人だが、もっと前はロシアといえば米原万里さんだった。
両者には接点は十分あるが、友達、というまでの物理的な交歓とは言えないらしい。会ったのは10回ばかり。
しかし米原さんが佐藤さんにいろいろ言ったことが、その後の佐藤さんの人生行路の道標になったようなところもあって、佐藤さんは米原さんには感謝しているし恩義も感じているらしい。

そこで、米原さんの著作のなかから、彼女の人となりがわかるような作品をピックアップして、ロシア料理のコース仕立てにまとめた、佐藤優氏による米原万里のアンソロジー、ということになる。米原万里、Remixed by 佐藤優、ということですな。

今なら、佐藤優氏が関わっている本ならとりあえず読んでみようか、という人も結構いるので、出版業界的にも、佐藤氏が絡んでいる方が、一翻(イーファン)上がるだろうし、佐藤氏にしてみれば、ささやかな恩返しという意義もあるので、なかなかいい企画だとは思った。

米原さんも膨大な作品群があるので、僕も読んだものも読んでいないものもある。
限られたスペースの中で、いかにも米原さんの人となりがわかるようなエッセイを取り上げていた。もう没後10年以上経っているのに彼女の人生が生き生きと紙面から浮かび上がるのは、不思議な経験だった。
実際に対面したのは10回くらいではあるが、佐藤〜米原両氏の関わりが、こういう形で昇華されるのも、悪くない。

私が今後人生でどんな仕事をしてゆくのか、自分でもわからないが、こういう風に別の人間が振り返ってくれたら嬉しいだろうなと思う。
ま、しかしそのためには、自分の仕事を結晶化しないといけないよね。

ポジティブ・チェンジ

オススメ度 80点
そういえば僕も学生の時に敢えて恥ずかしいことしてたなあ(黒歴史)度 80点

ポジティブ・チェンジ

ポジティブ・チェンジ

メンタリストDaiGoという、やや胡散臭いキャラクターでブレイクしたDaiGoさんも、パフォーマーは卒業されて、今は企業のコンサルティング(コーポレイトアドバイザー)や、作家・講演家で活躍しているらしい。
ま、そもそもがこの人も慶応理工学部物理情報工学部卒で、キワモノな出自ではないわけですね。

自分を変えたくてセミナーにいろいろ通うけど、変わらないんです

→基本的には人間は変化を嫌うので、仕方がないです。
努力と根性では変われない。
変化を楽しむためにどうするか?

以下、備忘録:

  • 変わるために、頭も、準備もいらない。計画は欲求を消費する(回避行動の抑制に役立つ)
  • To Doには3つしかタスクを書き出さない
  • 今の自分は、未来の自分の根拠。ということは今の行動を変えれば未来の自分は変わる。
  • 変化させるもの:時間・言葉・友人;モノ・環境・外見・食事
  • 時間割を把握する(早起きのススメ。「悪魔の時間」)パーキンソン第一法則
  • 言葉を変えると自分が変わる(アズ・イフの法則。YouメッセージからIメッセージ)
  • 友人 馬鹿な人と付き合うと馬鹿になる。ぐちは聞くだけでも害になる
  • モノ・環境、外見、食事。常に新しい行動をとろうと努力する。スティーブ・コーエンのエピソード

あとは、具体的に変化をさせるための具体的なスキームとフレーム(枠組み)の紹介。
めんどくさいこと、恥ずかしいこと、に対する対応(レジスタンストレーニング)、敵を利用すること。

まさに、自己啓発セミナーの王道かなとは思う本だと思うが、
自分を変えるなら、ある種自分に催眠術くらいかけなきゃ変わらない。
まあ、良心的な催眠術だと思う。
非常に合理的。

ジャズ・スタンダード・アナライズ~名曲誕生の謎を紐解く

オススメ度 100点
でも、ちょっと過剰に意味を汲み取りすぎていませんか?度も 100点

ジャズ・スタンダード・アナライズ~名曲誕生の謎を紐解く

ジャズ・スタンダード・アナライズ~名曲誕生の謎を紐解く

Jazzの店で薦められて購入。これはおもしろかった。

一言で言えば、スタンダード・ジャズのリードシートのアナリゼということなのだが、
むしろどちらかというと「旋律学」といいますか、コード進行の理論と、旋律の妙を、解析している。

歌詞そのものには立ち入らないが、旋律とコード進行の、数理的な解析というよりは「意味論」といいますか。そういう感じ。
ちょっとトンデモの域にギリギリ踏み込みつつ…
数学の本だと思ったら、数秘術の本だった、みたいな読み味があることは否定できない。
ただ、メロディーのMotifの展開法とか、コード進行とかの部分についても、かなり詳細な解説をしてくれる。
アドリブのためのChord Progressionを勉強する機会は多いが、Melody-Makingおよび、Chord Constructionまで教えてくれる本はあまりない。

「名曲とは偶然ではない、名曲なるべくしてなったのだ」という言葉が章の結びに頻出するのだが、著者の本音そのものなのだろうと思う。

個人的にはIpanemaの娘のBメロの解析を長いことなおざりにしていたのが謎がとけてよかったです。
それより、思っていたコード進行が違っていましたけど。Bメロ二段目 F#m7が、この本ではAmaj7、三段目 Gm7がこの本ではBbmaj7なんですよ。
まあその方が整合性は取れやすかなー、とかは思った。まあ骨組みとしては本質的に同じだし。

賢者の勉強技術

オススメ度 80点
中高一貫だったんだけど、確かにおっしゃるとおりの欠点あったわ…度 90点

賢者の勉強技術 短時間で成果を上げる「楽しく学ぶ子」の育て方

賢者の勉強技術 短時間で成果を上げる「楽しく学ぶ子」の育て方

学び・成長、教育に関する本。
特にこの方が教育者なので、子供の教育について、詳しく書いてある。

  • 「効率的な勉強方法 」というのは存在する 。 「楽しい勉強方法 」というのも存在する 。教育に責任を持つべきなのは 「子ども自身 」
  • 子ども自身に自主性をもたせることが大事。

大まかな主張は上の通り。
さすが、先生だけあって、エビデンスが豊富で、戦術的なところについてはうなづけるところが多かった。

  • 宿題をたくさん出しても 、生徒の成績 (ここでの成績とは 、学校の定期テストの点数のことです )はあまり上がらないことはわかっているらしい。
  • 問題を作る側の気持ちを体験させると、一皮向ける。一度でも問題を作った経験があると 、テスト問題を作る先生の考えが手に取るようにわかってきて 、その後の勉強効率が大きく変わってきます 。
  • 子供にとって退屈な状態を一時間続けることは苦痛。なぜなら時間の流れが違うから
  • とはいえ、子供に最初から主体的に勉強させることは難しいので、大人のサポートは必要。思春期にだんだん子供に任せるようにして、その比率を18歳になったときに親 1対子ども9の自立具合になっているというのが順調な成長のモデルケ ース。そうなっていないと、大学生以降も、指示待ちの人間になってしまう。

その他、中学受験、高校受験、大学受験、中高一貫校の是非など、子供の教育に悩む親に、即効性のあることも沢山書かれてある。
教育本であると同時に、基本的なトーンは、ビジネス書と同じ書かれ方をしているので、読みやすい。
一世代前って、純粋な教育畑の人の本って、精神論的な部分とか、過度に母子関係の中での振る舞いに限定して書かれていたりして「教育学」にはネガティブなイメージしかなかったのだが、やはり時代は進んでいるのだな。

ちょっと前の「才能の正体」と併せて、オススメ。
halfboileddoc.hatenablog.com

『インターステラー』

オススメ度 70点
咳やだなあ、咳… 度 80点

公開されたのは5年前か。ずいぶん後になってからみなおしたもんだ。
最近 Amazon Primeのビデオをぽちぽちとみるようにしている。
たいてい、アニメかバラエティだが、時々は映画も観たいと思って観たのがきっかけ。

あらすじなんて、いまさら僕が言うことではないだろう。
2001年宇宙の旅』に、家族の断絶・和解みたいな超個人的なストーリーを足した、というのが、この映画の眼目なんだろう。
それによって、映画そのものの絶対的な斬新さよりは、ストーリー(もっと言ってしまえばホームドラマ)のわかりやすさを目指した、と僕には思われた。

2001年宇宙の旅』と比べると、映画というジャンルそのものが成熟したのか、それとも陳腐化(退歩)したのか。
構図としては日本において「セカイ系」と言われるものと共通の部分が多いなあと思った。

もちろんこの手の話は日本でもさんざん議論されてて、ゼロ年代サブカルのトレンドが、ハリウッドに行くのか…みたいな感動も、
2014年時点でBlog界でずいぶん読んだような気がします。

本編ではさらりとしか触れられていない世界設定が端々に垣間見えて、結構おもしろかったですね。
医者としては、なんか世界中に塵が多くなって慢性の呼吸疾患が流行っているという未来予想図が、笑えんなと思った。
そういう細部の作り込みが、確かに 2014年の今を踏まえたもので、そこは『2001年』の時代とは違うよなと思いました。

後、映像としては映画『八甲田山』なみに白と黒の部分が多すぎたと思う。その意味では地味な映画ですね。
しょうもないつっこみですが、「インターステラー」=星間飛行いうてますけど、ワームホールとか使って銀河系間飛行なんちゃうの?
「インターギャラクティカ」なんちゃうの?とは思いました。

『初速思考』金田博之

オススメ度 80点
即効性高い度 100点

初速思考

初速思考

まあ、ビジネス本であり、自己啓発本である。その意味ではビジネス書としては王道。

結果が出せない、計画の立案に時間がかかる、情報収集・分析に時間をかけすぎて、実行するところまでいかない。
はい。
「巧遅は拙速に如かず」というそのものズバリの言葉もあるが、「PDCA回せてない」ということですね。
こんな人に対して向いている本だと思います。

PDCAではなくpDcA がいい、なんて別の本にありましたが、「とりあえずやってみる」メソッドは大事ってことです。
20代くらい、そろそろまとまった仕事を任されるような立場、の人におすすめ、ということでしょうか。

  • 30代では戦略が必要、30代には成長のチャンスがゴロゴロしている。
  • 出来るやつは仕事が速い。はしりながら考える
  • 会社にも戦略があるように人生にも戦略があってしかるべき
  • 失敗の克服よりも成功(得意分野)の強化にフォーカスした方がやる気が続く
  • 行動のほったらかしは失速の原因になる
  • すごい人のスキルを短時間で吸収する、だめな人は反面教師に
  • 量が質に変わるのは絶対行動量を超えた時
  • 仕事の最低速度をあげるために習慣化する
  • ごっつぁんゴール」も、ゴール前にいないとできない。が、その成功要因となる行動を蓄積しろ
  • STARに分けて言語化する
  • スピード感のあるチームがどこが違うか。

この人が新人時代に取り組んだ「ベストプラクティス制」は僕もいいなと思った。
「一行記録」でいいから振り返り、評価を記録するくせをつける、など、
いわゆる一般的なビジネスマンの使いやすい「フレームワーク」が緻密で、明日から始めやすい「型」もさしはさまれている。

だから、決して「考える前に動けよ!」という精神論を述べているのではない。
PDCAの優先度の割り振り方や、行ったことの振り返り方や、次への活かし方など、戦略的な話だけではなく、戦術的な話、具体的なHow Toに重きを置かれている。
その意味で、ビジネスマン初学者にはいいのではないか(この手のツールというのは沢山沢山あるから、自分の手に馴染んだものを使えばいいとは思うが)
と思った。素直にこれ実践出来る人は、伸びると思う。