半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

日本の死角

いま日本はどんな国なのか?
私たちはどんな時代を生きているのか?
意外と見えていなかった「日本の謎と論点」

【本書のおもな内容】
●「日本人は集団主義」という幻想
●中国で見た「日本衰退の理由」
●なぜ若者は結婚しないのか?
●「ハーバード式・シリコンバレー式教育」の落とし穴
●日本の学校から「いじめが絶対なくならない構造」
●地方で拡大する「移動格差」
●「死後離婚・夫婦別墓」の時代
●「中国の論理」に染まるエリート学生たち
●若者にとって「個性的」が否定の言葉である理由
●なぜご飯は「悪魔」になったのか?
●「ていねいな暮らし」ブームと「余裕なき日本社会」
●災害大国の避難場所が「体育館」であることの違和感
●女性に大人気「フクロウカフェ」のあぶない実態
●性暴力加害者と被害者が対面したらどうなるのか?
●アフリカ人と結婚した学者が考える「差別とは何か」
●“褐色肌・金髪・青い眼”のモデルが問う「日本社会の価値観」

みんななんとなく日本っていうのをこう捉えてますけど、結構違いますよね。という話。
この本の宣伝になっているウェブコラムを読んで、買ってみた。

例えば「日本人は画一的で全体志向。個性がない」なんていうパブリックイメージは、かなり違うらしい。
日本人はむしろ集団主義というよりは個人主義志向が強いのだとか。
日本人の「同調率」は米国と大きなかわりがないらしい。

実は日本人が集団主義、と言い出したのは、パーシバル・ローウェルらしい。
パーシバル・ローウェル。「火星には運河がある」って言ってた人だよ。
この人のおかげで「火星のジョン・カーター」という作品ができたりしたわけだけど、まあこの2点を持ってしても、思い込みの激しい人物だだった、っていうことだわな。

そのほか、現代日本の不気味な「地域カースト」化、移動率の差や、日本がロールモデルにしがちなハーバード式教育制度は、おそらく格差の固定化を促すだろうという話とか、中国に今を見た現状で日本の今を書いたものとか。

日本の国内の問題とか、国際社会の中での日本の話とか、どちらかというと、「日本スゴイ」的な礼賛本では取り上げないような話。
しかし、割とストレートに「今の日本の政治が悪いんじゃ」という話でもなく、確かに、割と珍しめの視点で日本を見直してみたような本。

「日本論、二周目」とでもいうような話。

結構面白いし、内容は多岐にわたるので、何かひっかかるトピックがあるような気はする。