半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

銀漢の賦

寛政期、西国の小藩である月ヶ瀬藩の郡方・日下部源五と、名家老と謳われ、幕閣にまで名声が届いている松浦将監。
幼なじみで、同じ剣術道場に通っていた二人は、ある出来事を境に、進む道が分かれ、絶縁状態となっていた。
二人の路が再び交差する時、運命が激しく動き出す。
第十四回松本清張賞受賞作。
解説・島内景二(国文学者・文芸評論家)

なんかで紹介されていたので読んだ。
藤沢周平のの海坂藩もののような、小藩の閉塞感、うだつのあがらないサラリーマン的な主人公、
若い頃の三人の男の友情。
そして剣客商売の秋山小兵衛的な、親子ほども歳の離れた(しかも親友の娘!)女性とのほのかな恋情。

もうまさにザ・時代小説。
時代小説界のHank MobleyTommy Flanaganか、といった感じである。とにかくよくできている。

ただまあ、定命である我々は無限に時間があるわけでもなく、池波正太郎とか山本周五郎とか藤沢周平的な小説がなんぼでもあっても、まあ困るよなあ…読まなあかん本なんぼでも増えちゃうじゃん、と思う。
このまえちらっと触れた新田次郎と違って、とてもドラマにしやすそうな着々としたプロッティングでした。
よくできてる。

自分も今年50歳になる。
何事かを成し得た人生、誰かに記憶されるべき人生ではなく、
なんとなく選択肢を選んでいく中でそれほど幸運でも不幸でもない人生に落ち着きつつあるわけで、こういう主人公のあり方は、悪い気はしないのだけれども。毎日を丁寧に生きるしかないよなあ。と改めて思う。