おススメ度 90点
- 作者: エドワードルトワック,Edward N. Luttwak,奥山真司
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2018/09/20
- メディア: 新書
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エドワード・ルトワックはなんかえらい戦略家の人。
ぶっきらぼうな物言いが、らしい。
日本には戦術ばかりで戦略家がいないと日本人は自嘲するが、それは全くの誤り。
グランドデザインを描いた戦略家がたくさんいる。例えば徳川家康がそうだ。
- 江戸時代 日本1.0
- 明治システム 日本2.0 包括的な近代化を成し遂げた
- 戦後システム 日本3.0 軍事的敗北を経済的勝利に変えることができたシステム
しかし現在は日本は新しいシステムを作る必要に迫られている。
それが日本4.0。なぜなら、「日本3.0」では
- 北朝鮮の脅威
- 米中対立を軸とした「地経学」(ジオエコノミクス)的紛争
- 少子社会
に対応できなくなった。
なので、そこは新たな戦略を構築する必要がある。日本は戦略を建てなおす必要がある。
というのが、この本の主眼。
* * *
以下は、備忘録。
- 包括的なチャイルドケアシステムが必要。子供がいなければ、安全保障など何の意味もない。
- 北朝鮮問題ではなく「朝鮮半島問題」として考えるべき。
- 核武装の解除、朝鮮半島を中国の支配下には置かせないなどが戦略目標となる。
- 自衛隊いは先制攻撃能力が必要 >>これは論議を呼びそうな
- 国際世論という何の頼りにもならないものをあてにしてはならない。
- 北朝鮮の唯一不利な点は、まともな防空システムがないこと。
- リアリスティックな戦闘訓練が必要。軍事演習で乱れなく動く軍隊は、概して弱い。
- 日本の核武装はナンセンス。先制攻撃能力の構築、特殊部隊(アメリカ式ではなくイスラエル軍のような)
ポスト・ヒロイック・ウォーの話や、リスク回避傾向こそが戦争を長期化させる
地経学的紛争の視野(この概念こそがこの人の発明だそうだが)
戦史の知識、や戦略的な言辞に含蓄があり、とても勉強になった。
こういう考え方で日本の立ち位置を切り取ってみるのも、視野が広がると思う。
外国人にはっきり現状を批判してもらうと日本人は目が覚めるいう悪い癖があるけれども。