比較生理学?とでもいうのだろうか、かなり学問的に厳密に、運動・カロリー摂取、体重との関係を考察している本。
割と身も蓋もない結論。
- 使われなかった燃料(栄養)は脂肪として蓄えられる
- 運動しても減量効果がほとんどない
- が、消費する以上のカロリーを摂取すれば太る
しかし結論だけみたらかなり月並みな結論。
だが、その辺りの考証に、膨大なエビデンスを駆使して論理的に詰め寄っているところが面白い。
最近私も去年から運動を再開させて鈍った体に喝をいれつつあるわけですが、もう「ダイエット」という気分はそっくり捨ててしまい、とりあえず筋力を保とう、くらいに思っていました。この本によれば、結局運動の目標に体重を設定しても意味がないみたい。
自分の感覚があっててよかったな、と思う。
以下、備忘録
- 霊長類は他の有胎盤哺乳動物の半分のエネルギーしか消費していない(霊長類はライフサイクルがゆっくり)
- 類人猿よりも人は脳が大きく、肝臓と消化管が小さい(肝臓と消化管を小さくすることによって節約したエネルギーで脳のエネルギーをまかなっている)
- 人は類人猿の中でエネルギー消費量が大きく、体脂肪の蓄積も多い(生殖にまわすエネルギーも多い)
- グリコーゲンの貯蔵量が上限に達すると、余った糖分は脂肪にかわる
- 脳は最もコストのかかる臓器。大きな脳をもつ動物がほとんどいない主な理由は、脳の維持コストが高いから
- 1日の活動レベルは1日の消費カロリーとほとんど関係ない
- 1日のカロリー消費量の個人差は大きい
- 分配によって身内に対しては非常に寛大になったが、そうでない人々に対しては恐ろしく冷淡で攻撃的になることができる
(内集団と外集団にわっける)
- 狩猟最終民の生活は厳しい>
- 視床下部にて食物と消費カロリーを常に監視し、エネルギーバランスを保つ
- 代謝戦略のマイナス面。代謝性疾患にかかりやすい(肥満・2型糖尿病・心臓病)
- 狩猟民=高タンパクは、おそらくミスリーディング
- タンパク質は食べ過ぎをおさえる(ケトン食はカロリーが同じなら、体重抑制効果はない)
- 脂肪を糖類にかえても心疾患のリスクは小さくならない
- 糖類を含んだ食品はついつい食べ過ぎてしまう
- 低炭水化物ダイエット=グリコーゲンが燃やされる→水も失われて体重が急減する
- 一つの食品ダイエット=飽きるので量が減るだけ
- 断食も意味がない
- 体重の増減を決めるのはカロリーだけ
- 感性満腹感(いろんな味のものを食べると太りやすい)
- 加工食品は太りやすい
- タンパク質・食物繊維・エネルギー蜜度
- ストレス>報酬系を賦活化するので太りやすい
- 運動はすべての動物にとって必須の要素ではないが、狩猟採取民の歴史の長い我々は運動をとりいれる必要がある。
- 運動してカロリーを使うと免疫に使うエネルギー、生殖に使うエネルギーを減らすことができる
- 運動で減量はできない。しかし体重維持に運動は必須
- 全く体を動かさないと、太る
- 食事が脳の報酬系と満腹中枢に影響を及ぼし、食べる量を左右させる