漫才過剰考察
あるポッドキャストでこの本を取り上げられていたので、何の気なしに読んでみたら面白かった。
著者は令和ロマンの高比良くるまさん。
実はここ最近の僕はお笑いへの興味をやや失っており、令和ロマンもそんなにきちんとみていなかったりしたのだが、2023年のM-1優勝への布石とか、そこをめちゃくちゃ深掘りで考察している話だった。
おもしろかった。
賞レースM-1の舞台裏、得点に絡むさまざまなファクター、をかなり詳細な考察だった。
面白いのは、M-1を参加者という視点で「どう面白い漫才をするか」という観点ではなくて、M-1というのを単に賞レースではなく、一つのコンテンツと考えて、そのドラマの中でどう振る舞うのか、というメタ視点での考察がなされていることだ。
実際に、本人は、出場順によってよりふさわしいコンテンツがあるという信念のもとに、ネタは4〜5種類準備して出場順や状況によって変えるつもりだったらしい。
なるほどなーと思ったけど、そんなことしているのは歴代出場者の中でも令和ロマンだけで、
その分析を態度を余すところなく書いているのが、非常に面白かった。
とても面白かったけれどもKindleにてよくある、文字が画像化されていて線を引いたりできないところだけ減点。
石田明「答え合わせ」
こちらはNon-Styleの石田さんのお笑い論。これは先ほどの過剰考察の、「今賞レースにいどんでいるプレイヤーの生々しいレポート」というのとは少し違って、20年以上やっているお笑いグループの、総括、という感じになる。
とはいえ、こちらも非常にわかりやすく、言語化もされていて深くうなずける内容だった。
これは、もう今の時点での「お笑いの教科書」と言ってもいいかもしれない。
お笑いを消費する側にしても、発信者がこういう感じで考えて作っているんだというのをうかがいしれるのは、コンテンツの消費の視座が高くなるので個人的にはとても興味深く読めた。
お笑いって、奥が深い。
そもそも笑いとは何かということがよくわからないのに。