オススメ度100点
ねえこれ知ってるの?今は常識なの?と問うて回りたくなる度80点
世界システム論講義: ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫)
- 作者: 川北稔
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2016/01/07
- メディア: 文庫
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ウォーラーステインの世界システム論。これ文系の政治経済の人はやっぱり常識なんでしょうかね。
今回初めて知った僕は、やっぱり物知らずなんだなあと反省しました。
論旨は極めてまっとうなもので、要するに、世界史は、一つ一つの国の自国史が集合して形成されている、というよりは、「世界システム」という一つの系=システムを考えないと、理解できない、という話。
例えば、先進国は産業革命に成功し、経済発展をしたが、開発途上国はそのような条件が揃わなかったために、経済発展がなされなかった、という従来の見方は、国単位にみると正しいように見えるが、全体をみわたすとまた別の風景がみえてくる。要するに世界システムのなかでは、産業革命に成功し、経済覇権を握ったイギリスは、世界システムの中で中核となりうる地位で、世界の流通や金融において中心的な地位にあるから発展したわけで、植民地化された周辺の国家は、中核国の「養分」として、むしろ低開発化、された。ということになる。
同様になぜイギリスで産業革命で成功し、フランスでは成功しなかったのか?という問いも、ヘゲモニー国家は一つしかなれないから、とシンプルに答えが示される。
世界史の通史はいろいろ読んでいるが、視点や視座を変えると、これほどまでにいろいろなことが説明しやすくなるのか、とは思った。
この本は放送大学で行われた講義をベースにされているので、総花的で非常にわかりやすい。