半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『ビジネス書ベストセラーを100冊読んでわかった成功の黄金律』

メタ自己啓発という言葉で紹介されていたこの記事がめっぽう面白かった。
honeshabri.hatenablog.com

この記事で冒頭に紹介されていたのがこの本。

これ、基本的には、自己啓発とかビジネス書について、斜に構えた態度の本。
自己啓発をボケだとすると、ツッコミで笑わせている本である。
その意味ではビジネス書や自己啓発について、リスペクトもしていない。

もちろん、表向きの理由は「たくさんのビジネス書を集約すると、多くの本で共通の法則を集約化し、残ったものが、
普遍的な法則として集約化できるのではないか?」という考えだ。
ビジネス書「金言勝ち残り選手権」というわけだ。

これって、極めて理系的な考えで、
「大規模スタディのメタ・アナリシスを行えば、普遍的な事実にせまれる」という考え方をビジネス書に敷衍している。

ただ、人間は合理的ではない。
例えばこんな感じだ。

ここまでの話をまとめると、こうなる。

  1. トップ5%社員のいちばん多い発言は、「今ちょっといい?」
  2. 「今ちょっといい?」は相手をイラッとさせる言葉

したがって三段論法を使えば、この結論が導かれる。

  1. トップ5%社員は相手をイラッとさせている

直観には反するが、これがビジネス書100冊分析から得られた正しい結論であることは疑う余地がない。

まあこんな感じで、ビジネス書で言われているあんなことやこんなことを、本同士で反論させている。
(文中で『ビジネス書内ゲバ』と呼んでいた。)

ま、合理的な事象なら重ね合わせれば真実が炙り出されるが、人間は非合理で多面的な存在だということなんでしょうね。

  • よく似たタイトルのビジネス書には真逆のことが書いてある
  • 大袈裟すぎるくらいの言葉を使う
  • 自己啓発の2大エピソード:松下幸之助の「運がいい」と答えた人しか採用しない・エジソンが電球を発明しようとして何度失敗しても諦めなかった話。
  • 余白だらけのページにエモい明朝体の馬鹿でかいフォントで一行:ビジネス書アジテーション
  • 成功者の真似をするというスタイルは、ネットワークビジネスにのめり込むリスクが高い

みたいに、この本の作者の感想も、大層シニカルではあるが、金言も含まれている。


以前に読んだ(Blogにはあげていなかった)

この本の、おとぼけ感にも似ているのかも。
デイリーポータルZの人の本で割とゆるふわな感じだ。
タイトル通り「ビジネス書一般」から背を向けた「普通の社会人」向けのビジネス書。

  • 儲からなくてもいいから楽しそうにしよう。(みなかわいそうな犬をみるように接してくれる)
  • 社内より外での評価をあげよう
  • 不良が捨て犬を拾っているところをみてキュンとする理論はビジネスシーンでも有効
  • 「コミュニケーション不足」「オープン」とかとりあえず言っとけワードを駆使する
  • 会議はお菓子を食べながら

ビジネス書全般に真っ向喧嘩を挑んでいるわけではないが、似たような読み味であることは間違いない。

 笑いの精神って大事、っていうことだろうか。