半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『マグロ漁船仕事術ー日本一のマグロ船から学んだ!マネジメントとリーダーシップ』

オススメ度 100点
本のきらいな管理職の人はとりあえずこれ読んどけ度 100点

マグロ船仕事術―日本一のマグロ船から学んだ!マネジメントとリーダーーシップの極意

マグロ船仕事術―日本一のマグロ船から学んだ!マネジメントとリーダーーシップの極意

はいこの本は、本嫌いの社会人にオススメ。
100点満点差し上げましょう。

Web記事を読んで、気になっていた。
www.hotpepper.jp
一旦は、インタビュアーの西牟田氏の仕事が気になったので氏の本を読んだりもしたのだが、
halfboileddoc.hatenablog.com

インタビューされた、マグロ漁船に放り込まれた若い研究者の体験記が、こちらになります。
Web記事にもエッセンスは十分含まれていますが、
ビジネス啓発書、リーダーシップとかマネジメントとかコーチングにかかれてある内容を、マグロ漁船という生々しい第一次産業の場で起こっていることに引き写して教えてくれる本です。

マグロ漁船というのは我々にも馴染みのない環境ですが、想像はつくわけです。
その現場のエピソードを通じてビジネス書の抽象度を下げて、理解させやすくする。

ま、これはマグロ漁船が全般にすごいのではなく、乗せてもらった船が「日本一のマグロ漁船」という噂もある名物船長の船だったのも大きいだろう。
マグロ漁船とバカにするなかれ。教養などなくても、一流ビジネスマンもかくやというマネジメントを行っているのである。
ビジネスの知恵に満ちている。

そういうのを目の当たりにして、素直にいいところを見つけて、抽象化し、ビジネスタームに落とし込んで汎用性をもたせた筆者の斉藤さんも見事だと思う。

この船長、仲間からすごく尊敬をされているのだが、体力・技能・判断力など、すべてに卓越しているのではないかというわけではないらしい。

「マグロ船では、すごいことができる奴は尊敬されんのぞ」
「自分ができ過ぎると、普通の人やらの気持ちがわからねぇんじゃねえか。それでつい『何で、こんなこともできよらんのか、このバカ!』ちゅーて怒鳴るけぇ、みんな嫌々働くようになる」(中略)
「う〜ん。何でもできよる船長は、若ぇ子たちに、『早ぅ、仕事を覚えろ!』と怒鳴るくせに、実際、若い子がうまくなってくると邪魔するけぇのぉ」
(中略)
「うまくできる子がいたら、『うめぇのお』と素直に褒めたり、認めたりしてやることど」
「それはなぜですか?」
「いっくら、船長に技能があってもの、船員から好かれちょらんと、言うこと聞かんけぇ。船長にとっての大事な能力やらは、みんなを負かすほどうまくなりよることじゃのーて、好かれることだと思うど」

当たり前のことではあるが、これは、なかなか言えることじゃない。

それにしても、特にビジネスとかそういう教育もしらない中で、組織管理の真髄に辿り着いているこの船長はすごいです。これは一例で、当たり前ではあるが、目からウロコの名言がぼろぼろ。