なんとなく気になっていた漫画を、ピックアップ。
以前にも書いたことがあるが、私は「世界の終わり」ものが大好きだ。
(最近では「ポストアポカリプスもの」というジャンル名もついているらしいね)
これは、私が団塊ジュニア世代であることも関係していると思う。
冷戦下に核戦争の恐怖を刷り込まれた世代。
そしてバブル崩壊から以降ずっと、ジャパン・アズ・ナンバーワンから凋落しつつある日本を目の当たりにしてある「滅びの世代」であること。
hanjukudoctor.hatenablog.com
しかし今や滅びの予感は団塊ジュニア世代だけのものではなくなった。
SDGsと言っていたところにコロナ。
そしてウクライナの戦争・世界の政情不安。
ロシアの戦争もつまるところはエネルギー問題です。
そして資源が少なくなったら、それを理性と友愛にやって分かち合うのが理想かもしれないが、やっぱり20世紀のように奪い合う世の中になってしまった。何がSDGsだ。
そういうことを考えてみると、現在の我々の「普通の生活」が30年後も同じであることは絶対にないであろう、と容易に想像できる。
時代に敏感なクリエイター達は「ポストアポカリプス」に今まで以上にリアリティを感じているからこそ、その手の作品が増えるのだろうか。
見開き大ゴマの、印象的な視点とパースでオリジナリティあふれる躍動感が印象的な氏が、こういうSF的な作品にたどり着くとは。
大寒波にみまわれ人類が絶滅した未来。商社のトップの主人公。中東の支社にあった冷凍睡眠装置を緊急避難的に使ったのだが……目がさめたら500年後で、世界は滅びていた。
完全に文明崩壊後の世界に放り出されたおじさんの奮闘記。主人公の年代が自分と同じくらいであることも含めて共感甚だしい。
また、場所によっては文明の再構築が行われており、カーボンシャフトが弓の弦に使われていたり、古タイヤが兜に使われていたり、ポストアポカリプスのリアリティ感は満載。
フレイザー『金枝篇』にある未開の部族社会・原始集団社会の類型とか、貨幣経済の勃興もうまく描写している。比較人類学とか、民俗学の造詣も深く、懐の深いストーリーだった。
文明社会が終わっても、人類の営みはRebootされうる。面白い作品であるし続きが気になる。
こちらのトラツグミはフランスで大ヒットして日本に逆輸入?的な触れ込みだった。
絶滅した日本に派遣されるフランスの軍人がみたものは……
みたいな感じなのであるが、確かに、フランスでヒットしそうな気はする。
メビウスを輩出し、AKIRAなどもヒットするフランスの人が好みそう。
まず何より、画力がすごい。
細密な部分、筆荒く描いてある部分のバランスが絶妙で、絵の奥に、その世界が立体となって立ち上る感じ。
「失われた遺跡」を冒険する探索行なのだが文明崩壊後の東京の姿もとても臨場感がある。
まだ物語は折返し地点にも至らず、全貌はつかめないのだが、惹き込まれる設定と物語ではあった。
参考:「世界の終わり」が好きな私の遍歴:
halfboileddoc.hatenablog.com
「葬送のフリーレン」は世界の終わりというか、自分が世界に取り残されていく感覚を描いたのだとは思う。
halfboileddoc.hatenablog.com
佳作としてまとめた話だが、いろんなフックが仕掛けられていて飽きない。
halfboileddoc.hatenablog.com
世界崩壊後うちに閉じこもるタイプ(クラーク『都市と星』でいえばダイアスパーのタイプ)の世界。
halfboileddoc.hatenablog.com
不死性と世界に取り残されるタイプの「世界の終わり」もの。
halfboileddoc.hatenablog.com
文明崩壊後で、たくましく生きる人達、高度なテクノロジーを遺したカルト集団。
halfboileddoc.hatenablog.com
これは「滅び」感がもっとも強いが、世界は虫瞰的にかかれ、よくわからない。