半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『惑わない星』石川雅之

オススメ度 70点
先がわからない度 60点


首をひねる怪作。
もやしもんは読んだ。最後はなんかグダグダした記憶しかないが、面白い本だったと思う。*1

まあ僕の好きな「世界の終わり」の話。
なんとなく連載を飛び飛びに見かけて、???となっていたのだが、StayHomeの時期に、重たい本の合間に手が伸びた。

衰退期の地球。外界は汚染されていてマスクなしでは生存できずシェルターにて細々と生きている人類。
シェルターの内部の職は少なく多くの住人はシェルターの外部でゴミを拾ったりする仕事をしている。
シェルターの内部では、現実から目を背けるように、アニメやゲームなどの仮想現実が優勢な世界。
マトリックスインターステラーと何かを足して3か4かで割ったような世界。
そんな中、ある日「外」に、奇妙な女性達が降臨し始める。彼女らは自分達を惑星だと呼ぶ……

まあ確かに、セーラームーンっつーのがあるから、女性が惑星を模していても、それはそんなに気にはならない。
ただ、物理法則を超越した存在のキャラクターによるストーリーテリングって本当に難しい。
そういうキャラクターを多数出現させておいて、キャラが勝手に動き始める系の日常風景的なプロッティング。
それを受け止める僕らの心情も、難しすぎる。
どう受け止めたらいいんだ。

この先どうなっていくのか、わからないが、作者の胸先三寸にも思えてしまう。
その「わからない」はあまり心地よい「わからない」ではない気がする。

まあ、石川氏描く女性は、美しい。やわらかさはあまり感じないけれど、若い女性特有の「重力に逆らっている感じ」(胸や尻が)、いいですよね。
惑星ならではのきわどいコスチュームを纏った絵と、あさりよしとおの科学漫画のような科学解説をぼんやりみるだけでも、満足すべきなのかもしれない。

「惑わない星」という題名の割に、惑星も、主人公も、読んでいる我々も、だいぶ惑わされている。
この題名は反語的表現なのだろうか。上島竜兵「押すなよ押すなよ」的な表現なのだろうか。

*1:作中の「世界の全ては次男がまわしているのよ」は名台詞だと思う。ま、僕長男なんすけどね。