半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

秋の夜長はヤンキー感『鬼門街』『スモーキングサベージ』

SNSやっていたら漫画の紹介みたいなやつあるじゃないですか。それがきっかけになって読んだ漫画。
どちらも「ヤングキング」連載。
 ほら、「Badboys」が連載されていた、ヤングキングですよ。
まあそういう漫画。

私は中学から地元を離れてしまったわけですが*1、地方都市で生まれ、一生離れずに生きていくライフスタイルも当然よくあるわけである(うちの職員にはそういう人も当然多い)。
『マイルドヤンキー』というラベルがわかりやすいですけど、地元のつながりを切らずに社会人になりそのまま地元のネットワークを社会資本として生きるライフスタイル。

 そういうライフスタイルの辺縁には噂するにも一段階声をひそめるような「悪い先輩」みたいなドヤンキーの人たちが必ずいる。
 ただ、その辺縁のどヤンキーから「半グレ」や「ヤクザ」の人たちまでのアンダーグラウンドの話はリアルな世界と半分地続き・半分は知らない世界だったりする。
僕はそういう知人が全くいないので、異世界すぎてちょっとわからないんだけど、一生地元に住み続ける人には、この手の話は、おそらくほんの少しリアリティのあるファンタジーなんだと思う。だから、こういうアングラ界のクライムものが興味をもって受け止められるのだ。

ひょんなことから鬼の持つ力を使えるようになった高校生の主人公。
14巻が終わって、今は続編のKARMAが連載されているらしい(一応全部読んだ)。
まあヤクザ〜ヤンキーあたりの社会を舞台に描かれる超常能力モノ。
 まあこういう世界で、超常能力あったら、そりゃ便利ですわな。
画力はよくわからないが、ちょっとタッチが「柳沢きみお」感がある。
あと、鬼がめちゃくちゃ口が悪い。
 主人公に取り憑いている鬼がことあるごとに「アホンダラ!」という罵声を浴びせる。
 関西弁でもないのに。
「アホンダラ!」ちょっと自分の口癖にうつってしまいそうだった。
 まあこんな漫画の口癖が転移してしまう自分にアホンダラだ。

こちらは、闇の拷問集団を描いたやつ。
もうちょっとアンダーグラウンドな世界。
ザ・ファブル」と似ていて、ホントか嘘かわからないヤンキーのアーバンフォークロアといえる。
この漫画では、オタクっぽい丸っこいフォルムの双子が、実はめっちゃ怖い存在。
この漫画の「発明」はこの兄弟なのだと思った。ギャップいいよね。

まあ、こういう世界を体験するにしても、きちんとしたストーリーテリングを楽しみたいなら「マイホームヒーロー」(しか思いつかなかったが)。こういう世界の当たり前さこそが「ヤングキング」なわけで、ヤングキングを開いた時点で、ミノフスキー粒子ならぬヤンキー粒子に支配された空間に我々はいることを知っておかなきゃいけない。
 ただ、ヤングキング空間では、人々は喧嘩っ早く、「ダチ」と「味方」と「敵」しかいない荒涼とした世界。
少女漫画にあるような人間関係のヒダヒダを丁寧に描くような世界ではないことは覚悟しておかなきゃいけない。

*1:大人になって家業を継ぎに帰った