半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

都市型恋愛色々『わたしたちは無痛恋愛がしたい』『ニュー・トーキョー・カモフラージュアワー』『純猥談』

もうおじさんなので、恋愛の話なんて触れる必要もないのだけれど、でも村上春樹氏だって70歳にもなって初恋の話をみずみずしく活写しているし、生物学的な年齢やライフステージ関係ないのかも。

そういえば「東京タラレバ娘」最後まで読まずに終わってしまったけど、これもうすでに2010年代の恋愛模様であり、現代性をいささか失っているような気がする。
halfboileddoc.hatenablog.com
「来世ではちゃんとします」も、そういうテイストあったよな。

これはKindle Unlimitedにて。
読切りの恋愛模様。皮肉多め、しかし情を通じるところも多め。
これは女性視点での都市生活をさらりと描いた作品、その中に恋愛も含まれてる、という感じなんだろうな。
シニカルすぎず、第一人称すぎず。「ま、こんな感じか」感はある。

純猥談は、純愛みたいな猥談みたいな話、ということなんだろうか。
主人公は大体女性。猥談というけど、エッチな部分も含む恋愛話。
今回取り上げた中では最も第一人称的な描写で、皮肉要素も少ない。
時折あるハッピーエンドも含め、一番切なさエモさがあったりもする。
絵は好きかも。
例えば1巻の正面顔の女性、斜視気味な感じにも見えるが、これは割と顔を近づけて見つめ合っている時にはこんな感じになるので、そういう細かい観察力が、良いのではと思う。


『臨死!江古田ちゃん』で一世を風靡した瀧波ユカリの最近の作品。
割としっかりとしたストーリーで現代世相における恋愛を切り取る作品。
ストーリはしっかりしていて、ここで取り上げた中ではもっとも構造的に描かれていると思う。
恋愛そのものの第一人称的な描かれ方というよりは、そういう恋愛の世相を描くことで現代に物申す!的な作品に思われる。
過剰にわかりやすさを追求するビジネス本が、章のまとめに大きな字でまとめを書いてくれるように、
大ゴマで「ここ重要ですよ」的なキーワードを書いてくれる。
SNS」「裏垢」「星屑」
でも2巻の途中くらいで一気に10年後にワープ。がすごいリアルでよかった。
東京タラレバ娘」シーズン2まで一つの作品でやっちゃう気概が、非常に野心的でいいぞう。
時代からはずれつつある僕のような団塊ジュニアおじさんには「こうなりなさいね」と作者が正解的に示してくれるキャラ「フェミおじさん」を出してくれているのも、親切でよろしい(全世代的な取り込みを狙っている点であざといとも言えるが)。

現代世相の構造を含めて示すという点では、カレー沢女史のこれ
halfboileddoc.hatenablog.com
と合わせて推したいところ。

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ちょっと前に、「東京日記」読みましたが、これは皮肉多め、恋愛脳少なめ。第3人称的。