Kindle Unlimitedにて。
昔読んで大層感じ入ったSF『星を継ぐもの』が、ひっそりと漫画化された時には驚いた。
小説版『星を継ぐもの』自体の表紙が、創元SF文庫の、古式ゆかしいイラスト(昔のハヤカワとか創元SFとかの表紙絵。プラモの箱絵っぽいやつ)だったので、読んでる時もどうしても、そういう映像世界を念頭に入れて想像してたわけである。漫画版は、ちょっとイメージかわってしまうかもしれないな…と思ってたら、
「いつの時代?」と思われるような、バタくさい劇画タッチ。「こりゃイメージどおりだわ…」と思った記憶がある。
その作画担当が星野之宣さん。というわけである。
で、この作品は星野さんが1980年代のノリにノってる頃に書かれたオリジナルSF大作。
オムニバス的な話が続いて3巻構成になっている。
一話一話かなりしっかりしたSFだと思った。
クラークとかアシモフとかそのあたりをがっちり咀嚼した上で、きちんと映像化もできていて、きちんとしたSF漫画。
惑星間航海につきものの、年齢問題、ウラシマ効果や、異星人種交流など。
いわゆるハードSFを劇画にした感じではあるのだが、やや説明が不親切に感じられる部分もあったけど、
多分、それって21世紀作品における「わかりやすさ」を基準としているからだと思う。
ファスト消費が当たり前な現代にスポイルされてるんだと思う。僕も。
ちょっと読んで咀嚼するのに、アゴの力が落ちているな…と反省した。
たとえばノーラン監督の「インターステラ」の話がこの宇宙航海年代記の中に含まれても違和感がない。
そんなクオリティで、壮大な話でした。