オススメ度 90点
火の鳥度 90点
「火の鳥」のエピソードを拡大したようなシチュエーション。それも踏まえて、劇中の登場人物がボロボロになった火の鳥を読んでいるシーンが冒頭に出てくる。
人類が滅亡し、荒廃した地球。
僕の好きな『世界の終わり』もしくは『終わった世界』ものだ。
そこに住む、母、子供二人。
彼らは死なない(ロボットではないらしい。よくわからない)。
不死というのは地獄なのかもしれない。
そして、そこにある日宇宙船が墜落して来て…というところから物語が動き始める。
感想を一言でいえば、世界滅亡後の特殊な世界で、不死である特殊なシチュエーションを描いた作品だが、
だからこそ我々は我々の定命性という普遍と向き合わざるを得ない。
* * * *
ここからは仕事の話。
私は組織統括者であり、組織の属人性を廃しましょう、みたいなことを常に言っている。
属人性を廃し、誰でも同じ業務ができるようにすること。
その中で、自分にしかできない業務というものを追求すること。
この二律背反をうまく両立させることこそよい組織なのであると思っている。
hanjukudoctor.hatenablog.com
実は構成員が不死もしくは超寿命である場合は、多分こういうことは考えなくていいのだろうな…とこの作品をみて思った。
A.C.クラークの『都市と星』には「ダイアスパー」という不死化した都市文明と、不死を選択せず、小規模集落にて生活するリスという二つの世界がある。
- 作者:アーサー・C・クラーク
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/09/05
- メディア: 文庫
「ダイアスパー」という不死人の文明では、
新卒が入ってきて、仕事を覚えて、そうして、ローテーションして、という組織の新陳代謝がそもそも必要ない。
だから、ある特定な業務が得意な者は、おそらくその業務を続け、習熟度を究極まで上げてゆくということになるだろう。
時間的な制約もないのだから、仕事の属人性による非効率などは問題にもならない。
まあ、これは例えば、開業医の先生のコメディカルスタッフ(先生の開業とともに採用し、もし特定の理由がなければずっと働き続けるような小宇宙であれば、組織の若返りとか習熟度の均てん化とかは考えなくて済む。その代わり、その先生が引退すれば、その系はそのまま心中することにはなる)などは、一代限りではあるが、そういう組織の新陳代謝とは無縁な組織ではある。