半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『金持ちフリーランスと貧乏サラリーマン』

オススメ 90点
わかりやすい度 100点

Kindle Unlimitedにて。

簡単にいうと、サラリーマンよりもフリーランス個人事業主の方が稼げますよ、という話。

・資本主義とは「お金がすべて」の世界
・資本主義の世界ではお金持ちになると悠々と生きやすい
・サラリーマンはお金持ちになりにくい
・サラリーマンが稼げないのは「使えない社員」の給与を「使える社員」が賄っているから。(労働基準法によって雇用が保証されている。クビはできないようになっている。そういう「使えない社員」を雇い続けるリスクは、「従業員の平均給与を下げる」ことでヘッジしている)
→つまり「仕事のできる中堅サラリーマン」は、仕事のできないサラリーマンの生産性の低さをカバーして、抑えられた給与で働くことになる。

感想としては、至極まっとうなことを言うてはるな、と思った。
イマドキのビジネス本を読むと、こういうことは何度も語られているし、実際会社というものを運営して思うのもそうだ。
平均以上の能力がある人(トップ5%でなくてトップ35%で大丈夫)は、フリーならもっと稼げる可能性は十分あると思う。会社としても、社保とか、研修などの成長費用を払わなくていいのでメリットはかなりある。
仕事の内製化が当たり前な風土だと、こういうフリーランスに仕事を頼みにくいので、会社も、業務の外出しを積極的にやって、生産性をあげてゆく必要はある。

こういう本はアジテーションでもあるわけで、現在の前提条件が崩れた場合に、フリーランスにしわ寄せがいく事態というのもまああり得る。そこは注意が必要だ。

たとえば、スマートグリッドとか。
電力網自由化で、電気料金が安くなるということで切り替えた人もいるとは思うが、あれは今後も電力供給が潤沢にあるという前提で成立していた。現在夏季・冬季のピーク時の電力供給はかなり不安定になっているので、そうなると市場原理により、電気料金はむしろ超割高になってしまった。

フリーランスの場合は明らかに手残りが増えるのは確か。
だが、たとえば今回のコロナのような予測不能な事態が発生した場合の安全マージンは明らかに少ない。
社会的な変化だけでなく、例えば一生の中で勤労世代の間、自分が全く病気に倒れない可能性はないとはいえない。
フリーランスの場合、そういう事態に対して、極めて脆弱ではあるのは確かだ。
会社は平準化装置でもあるわけだから。

ま、しかし、そういうアクシデントの可能性は高くはないので、社会全体の生産性を高めるためにチャレンジしてみてもいいとは思う。


以下、備忘録:
・サラリーマンよりもフリーランスの方が節税メリットが高い。
・会社員は狭いコミュニティで生きているうちに世の中から大きく取り残されるおそれがある。
・その割に、サラリーマンは、負わされる責任は大きい。

・頑張る人を揶揄する風潮が、日本における貧乏人の数を増幅させたのではないか
・「金の切れ目が縁の切れ目」→「縁が切れなければお金も切れない」
・影響力は最強の資産
・人として問題のあるダメダメフリーランスは意外に多い→中堅サラリーマンであれば誰でも「サラリーマン時代と同じ働き方」を続けるだけで無双できる
フリーランスからサラリーマンの戻ることも可能(その経験は成長につながる)
SNSは稼げている人を見せつけれられるので、残酷
・「儲かる市場」とは需要に対し供給が追いついていない市場
・貯金は死に金。「財」(人脈・スキル・影響力)を蓄えよう。
・終わっている会社で働くと「どん底の状況を経験した」「どん底の会社を立て直した」経験が得られる
・「評論家」になってはいけない。アウトプットしよう
・格上の人に会いに行こう
・人脈をアップデートせよ。たとえば同窓会などに行っても意味はない
不労所得よりも少労所得を
・今は「キャッシュフロー・クワドラント」(金持ち父さん・貧乏父さん)にこだわらなくてもいい

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参考:

halfboileddoc.hatenablog.com
このマンガの主人公は、実際会社をやめてフリーランスになる。その心情をうまく描写しているか。
halfboileddoc.hatenablog.com
茶店を起業した人の話。

halfboileddoc.hatenablog.com
二冊紹介した後半の方の話は、今回の本の結論に至るまでのところをマル経的な用語で紹介している。

halfboileddoc.hatenablog.com
子供にむけて、という体裁で、社会人にとって幸福はなにか?ということを書いている。ちょっと似ている。

halfboileddoc.hatenablog.com
時給ベースで、自分の価値とかを考えよう、という話。この辺も「自分で自分の価値をわかり、売り出していこう」という態度の点で共通している。

halfboileddoc.hatenablog.com
会社組織は人間関係がややこしいよね、という話。