半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『東京改造計画』堀江貴文

オススメ度 80点
あ、都知事立候補宣言?ってこういうことね度 100点

東京改造計画 (NewsPicks Book)

東京改造計画 (NewsPicks Book)

ホリエモンこと堀江貴文の行動は、いつも話題になる。
今やSNSや動画全盛時代の「未来を見て行動している賢人」の一人ということになるだろうか。
現在までの氏の足跡を振り返るに、収監・服役の時期でさえ糧にして、非常に人間の幅と懐の深みを増すことができているように思う。

ちょっと前に都知事候補?みたいな話がニュースになっていた。
なんで?と思った。

選挙活動や選挙運動というのは、普段氏がコミュニケーションとる価値なしと断じている層に伝わるよう「下りて」いかなきゃいけない。
「バカと付き合うな」という本で書いていた「バカ」そのものに相対しなければいけないのが選挙だから。
halfboileddoc.hatenablog.com
それに首長選挙は、トップしか益がない。後述するように堀江氏のスタンスは明確である代わりに、セクターによって共感度が著しく異なるので、こういう形式には、エッジの効きすぎた堀江氏は不利だ(参議院選挙なら余裕、衆議院選挙でも比例代表ならいけるかもしれないが)

ただ主客転倒すれば腑に落ちる。
この本のプロモーションとして都知事候補?というニュースをぶちあげれば、タイミングとしてはこれ以上のものはあるまい。
都政に関心のある人間は、本を買わざるをえないのだから。普段堀江の著作を読まない政治村の人こそ、読むだろうな。
そういう時流ご祝儀を狙ったマーケティングだったのね。
敏腕な編集サイドの考えそうなことだ。

基本的には堀江さんはグローバル・リベラル、経済としては市場主義のスタンスにある。
その軸で、非常にシンプルでわかりやすい話が続く。
これは未来予想でもあり、ある種のポジショントークでもあるのだ。

僕の立ち位置も堀江氏のそれとまずまず似ている(リベラル。市場主義は同じ。グローバルよりはローカルにやや心情を寄せているけど)し、堀江チャンネルとかも見てて堀江氏の考えにもかなり影響されているから、本の内容としては「まあそうだろうな」と思った。

小池都政、コロナ騒ぎで「水際立ったリーダーシップ!」とかもてはやされているけど、堀江の主張どおり、都政の撹乱因子であり、豊洲の一件をみても、目立った成果などない、という批判は僕も同感。とにかくメディア勘がいいので、瞬間反応のよさとかスピード感はあるけど、中長期的になし得た成果は乏しい。このコロナ騒動での一連のパフォーマンスで次期も続投できそうな気はするけど、都民は本当にそれでいいの?
まあ、経済人らしい施作にはうなづけるところ半分、ちょっと…と思うところも半分(大麻解禁とか)。
しかし、世界中旅したりもして、見聞は広いので、この人の感じるところを活かせば、やはり普遍的な都市づくりができるのかもしれない。