半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

経営者のノート会社の「あり方」と「やり方」を定める100の指針

なんだかんだいって、経営ってやつは失敗するとどえらいことになる点でリスク半端ないし、従業員がいるのであれば彼らの運命も一蓮托生なわけで、プレッシャー半端ない。
なので、ある程度年数を経ると、どんな経営者にもそれなりの風格というものは出来てくる。
修羅場はくぐるからね。

攻略本なしでRPGに挑むのは危険だ。
失敗すると実生活を毀損するわけだから。
というわけで、経営の攻略本的な内容。以下備忘録:

・目的・手段・結果=一番重視すべきは「目的」
・企業とは不易流行業
・五方良しの経営=それを評価するのは相手
・業績を大切にする経営と人を大切にする経営は真逆
・腹八分経営
・企業は私的なものではなく、社会的公器
・経営者の5つの仕事(省略)
・決断は損得・勝ち負けではなく、正しいか正しくないか、自然か不自然かで行う
・不平等に対して平等の扱いをすることは不平等
・経営者の辞め時3つ
・経営者の本性、社員の本性は不況の時に顕在化する(時々は不況な方がいい)
・中小企業がやってはいけない3つの競争
・企業経営は団体戦
・社員の能力発揮度は 10-20%にすぎない(能力を発揮させることができれば生産性は飛躍的に伸びる)

著者の坂本氏は、経営学者。
どちらかというと現場主義、中小企業に軸足をもった現場経営のアドバイザーで、経験は深そうだ。
京セラの盛和会と同じで、経営者に倫理を重んじるTipsが多かった。

これはオーナー経営者はある種絶対君主だから、自分以外に自分を律することは難しいからだと思う。
容易にリバイアサン化してしまうから、なのだろう。
(ただし国家と違って社員や取引先は逃げ出すことが出来るからそのような会社は潰れる)

読んだ感想としては、割と当たり前の話が多かった。「オーソリティーによるまとめ」という感じ。
Tips が100示されていて、まとまっていて読みやすい。
ただし、その分議論の余地のある部分は少ない点で懐は深くはないと思った。


自分で道を切り開いていない二代目経営者。
なおかつ自信がない人は、こういう本を読んで素直に実践してみたらいいんじゃないだろうか。
短いので本が嫌いな人にも簡単に読めるだろうから。

稲盛氏の「盛和会」もそうだけど、こういう本は昔からある日本伝統の「商道」の薫陶を受けている感じがする。

「医クラ」によくいる個人開業医もしくは個人投資家の人たちは、自らの個人的な能力によって道を切り開いている。
こういう新世代の強者はこの本で書かれているような旧世代的な経営価値観についてどう思っているのかは興味があるな。

参考:

成功した経営者の「俺はこんなふうにしてますけど」的なやつ。

halfboileddoc.hatenablog.com
halfboileddoc.hatenablog.com
halfboileddoc.hatenablog.com

リーダーシップに関する読みやすい本としては、たくさんたくさんあるけど、とりあえずこれくらい。
halfboileddoc.hatenablog.com
halfboileddoc.hatenablog.com
とりあえず『マグロ漁船仕事術』を上回るわかりやすい本はないな。