半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

論語と算盤と私

オススメ度 100点

実は読み切るまでに3−4ヶ月かかってしまったこの本、この人も異色の経歴であるが、経歴以上に、語り口の静かさにすごみを感じた。

中学卒業後に騎手を目指して渡豪し、身体の成長に伴う減量苦によって断念。帰国後、競走馬の育成業務に従事するも交通事故によって再び断念を余儀なくされ、専門学校を経て東京大学へ進学・・・とここまでも異色の経歴ですが、その後も、大学在学中に友人と興したスタートアップの経営+マッキンゼーでのコンサルティング業務+社長としてミクシィの立て直しに奔走+スタンフォード大学StartXのメンターや投資家としての活動

中卒でオーストラリアに渡り騎手としてトレーニングして、そこからドロップアウトした人が東京大学に入学、という振れ幅が、まるで芸能人か?という派手な経歴。その後も、マッキンゼーに行ったり、スタートアップ企業を立ち上げ、Mixiに売却し、Mixiで一年だけ取締役社長になったり。

Webでの記事をみる限り、Mixiでの立て直しというのには、若干の毀誉褒貶があるみたいだ。
野村監督の楽天イーグルスみたいなもんで、監督を交代してから花開いた、みたいな感じもある。
ただ、コンセプトを明確に、戦略を立てる、という仕事は、最前線からは理解されにくいものだけれども、そこが正しく立案できれば、現場で同じことをしていても企業は伸びる、という現実もある。

本を読んだ限りにおいては、この人の語り口は、このような有為転変の多い人生からは想像もつかない、同時代性さえを感じさせない静かなものだ。
歳下の人間が書いたものとはとても思えない。