半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『大きな嘘の木の下で』

6月の前半は、人事や職場の人間関係に関する本をまとめて読み、紹介。
後半は、やや力尽きてKindleのフォルダに溜まった漫画とかをあまり力を入れずに紹介。
7月からまた通常モードに戻ろう。

オススメ度 100点
アツさ度 150点

Owndaysの社長田中修治さんの、会社論というか仕事論。
僕はよくわからないし、一メガネファンとして、販売店としてのOwndaysには全く縁がない。
が、この社長の、赤字で売りに出ていた会社を買い取って立て直したエピソードはすごいと思うし、胆力と根性が備わった方だと思う。
前作の『破天荒フェニックス』もかなり話題になった(これは飛ばし読みをしたが、通読はせず)。

成功した社長の立志伝、平成令和版ね!
と軽く読み始めたが、面白いのだ。
苦労しただけ人格に深みもでる。観察眼も頭もよくなければこんな人並み外れたことできないわな。と思った。
Book SmartタイプではなくStreet Smart。問題が起こった時に、すでに既知のスキームにあてはめて解答を導いていくというタイプではなく、きちんと自分で絵図を描いて解決法をさがすタイプだ。だから説得力があるし、他の組織にも通用するような汎用性が言葉にある。

ビジネス本、自己啓発本みたいなものを読み倒している僕にも、この本は深く響くところが多かった。
同時代人を生きているだけあって言葉が響きやすいのだ。
中小企業のリーダーという点でも似ているからかもしれない。

「リスクをとるために毎日の生活習慣を変える方法」には深く共感した。
これ、いわゆる認知行動療法とかの前熟考期から準備期くらいの人のテクニックとして使えないだろうかと思う。
また『組織の人間関係は「上下関係」ではなく「どれだけ中心に近いか」』という考えも、なるほどと思った。
これは、結構今の組織で悩んでいるところだったので、目からウロコ。
私もこういう風に考えようと思う。

自分の読後感ではこの手のビジネス本で2020年ベスト5には入るだろう。
むずかしさはなくわかりやすいので、会社の若い子に読ますという意味でもオススメだ。
(マグロ漁船仕事術につぐわかりやすさだと思う。私はビジネス本のわかりやすさを『マグロ漁船仕事術』をリファレンスにしている)。
非常に実際的な話で、おまけに元気もでるので、とりあえず読んで損はしないんじゃないか。
halfboileddoc.hatenablog.com


以下、備忘録:
(詳細略)と書いているところは深く感じ入ったところ。全部書くと営業妨害なのでさわりだけ。
・自分で考えた「幸せの基準」を他人に押し付けるな。幸せの感じ方は結局その相手の感じ方次第
・仕事の上で何を幸せと感じるかは100人いれば100通りある
・そもそも「幸せ」という言葉は「状態」を表すものではなく、瞬間瞬間に感じる「感情」
・「幸せ」という感覚は人と比較した時によりはっきりと感じやすい
・「幸せ」ではなく、「豊かさ」を基準にした方が目標にしやすい
・お金は信用であり、交換から成り立っている。お金の考え方を変えるなら、言葉を変えることだ。
・借金ができる、ということは今の自分には「信用」がそれだけあるということでもある
・いい借金と悪い借金がある
労働基準法社会保険の適用範囲までしか生活が保障されない人たち→反面、会社のみんなから必要とされていて仕事が続けられなくてもみんなが支えてあげようと願い、特例を出される人もいる。(結局のところお金ではなく信用)
・「仕事」と「労働」と「遊び」の違い(詳細略)
・仕事をゲームにするための要素:「成長」「育成」「バトル」「収集」「交換」
・仕事のやり方は教えられるが、「やる気」だけは誰にも教えられない。やる気はあくまで自分のなかで芽生えてくるもの
・なぜあれほど「成功」にまつわる本が売れるのだろうか? なぜならいくら本を読んでも成功などできやしないからだ。
・学ぶべきは「失敗するパターン」(成功はアート、失敗はサイエンス)大切なのは「失敗を管理」すること(詳細略)
・チャレンジできるようになりたければ毎日違うドリンクを飲め(詳細略)リスクテイクのすすめ
・自意識過剰が成功の邪魔をする(詳細略)自分で「なれる」と思えば、なれる可能性は無限にある。でも「なれない」と思えば絶対になれない。「なれる」とすら思おうとしない人は一生なれない。
・人生において選択なんて大した意味はない。人が選択に意味があると思うのは「自分は選択を間違えただけで、努力がたりなかったわけじゃない」と思いたいから。(詳細略)
・「人間関係を円滑にすすめる」ということと「事なかれ主義」はまったく違う
・社員の不満を解消しようとするのは無駄(誰も何も不満がなく、みんなが満足している会社なんて、裏を返せば誰も何も望んでいないということ)会社にとって一番大事なのは、関わる人たちの不満を取り除くことではなく「納得」してもらうこと。(そのために必要なのは「公平と透明」)
・人は人であり、上も下もない。OWNDAYSでは出世をすることを「人の上に立つ」とは定義していない。「中心に近づく」そう定義している(詳細略)

ぜひ、買って読んで欲しい。多分損はしない。