京都府立大学の名物学長、塚本先生の入門書。
タイトル、語り口、章立て、すべて、全然興味ない人に聴いてもらうのに、すごく良く出来てる。
全くの素人の人に、ダチョウという鳥に興味を持ってもらい、段々と学術的な話に進んでゆき、抗体開発の話に導く。
結局はダチョウも、肉や卵という農業生産としてのインパクトはあまりないけれど、ダチョウの「免疫力が異様に強い」という特性にたどりつき、抗体を作らせてみたらめちゃめちゃ優秀だった。気がつくと合計数百億を稼ぐプロジェクトが生まれていたというのが面白い。
また、獣医学部に入学する前のエピソード(工場に就職していたとか)、先生の人となりから、と、学究精神よりも、産学共同のスタンスにつながっているストーリー。しかも、関西弁の語り口で、難しい話題も、面白い話題も、えらぶらず、ほっこりとお届けする。見事だなー。