半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『あなたの給料が上がらない不都合な理由』



平易な言葉で、社会人初心者の方に、世の中の仕組みを教示するタイプの本。

・経営者は、会社を継続する責任があるので、社員の給料は簡単にはあげられない。
・給料、さげてもいいなら、上げるのは簡単。でもそうではない。

この辺は、僕も以前に書いたことがある。
hanjukudoctor.hatenablog.com

みんな、通る道なんだろうな。
しかし、この物価高に、職員にしっかり給料を出したいとは思うけど、事業存続を優先させる気持ちは、やっぱりある。
いろんな理由で、給料をあげようという仕組みづくりをしているのだけれども。

ニートにくらべたら、なんだっていいや
・非正規雇用が、コストを削減するためのバッファー(緩衝材)として使われるようになってしまった
・安定雇用のためには内部留保が必要。ちょっと業績が良くなったからといって全部配っちゃったら会社は潰れてしまう。
・貨幣錯覚を錯覚だと侮るなかれ。
プロスペクト理論
・職業選択は、感覚的には投資に近い。給料を上げたかったら、リスクをとるしかない。
・他人を追い越すほどの給料の上昇を望む人にはリスクを伴う決断が必要になる
・平均賃金を単純比較するのはナンセンス
・日本は必要以上にダメと言われすぎ。
マルチ商法、事業化集団・「環境」の「師匠」たち
・上昇気流がと吹いてきたときに飛んでいたか、というのが大きい。問題は低空飛行でもいいので、長く飛んでいること。
・大きく飛躍する技術より、墜落しない技術のほうがずっと重要

間違っていることはビタイチいっていないけど、これは人を選ぶよなー。と思う。
あと、これをオススメ、と従業員に読ませる経営者はタチがわるいよなあ。とも思う。

あと、ウクライナ情勢とか、ポストコロナ情勢についてのヒントとか、とにかくわかりやすく盛りだくさん。

「思考の外注」を行う人にとっては、すごく便利な存在ではないか。
うちの親族にも、どっかで聞きかじってきた知識を開陳する人がいるが、
そういう人が好みそうな、クレンジングされた強いメッセージをとどけてくれる。
そういう強さのある本。

池上彰」じゃないけど、コメンテーターに選ばれるのも無理はない。