半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『東京大学のアルバート・アイラー』キーワード編/歴史編

『憂鬱と官能を育てた学校』(ISBN:4309267807)の続編に位置する本。

東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・キーワード編

東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・キーワード編

東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編

東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編

 この3冊、去年僕が読んだ本の中では一番知的興奮が大きかったと思う。
(参考:『憂鬱と官能を育てた学校』以前の感想:http://d.hatena.ne.jp/hanjukudoctor/20061104

 取り扱っている範囲は、『憂鬱と―』よりもより包括的で一般的な話であり、楽理に興味のあまりない人にも、楽しく読めると思う。
 菊地成孔は、とにかく饒舌ではある。誤謬を恐れずに比喩を多用、イメージしやすい言葉で説明するので、直感的にな理解をしやすい本である。ものすごいわかりやすい。たとえば、ブルースを「涎をだらだら流しているような非理性」と表現したり、そういうの。
 奔放に横溢するパルス。
 そういう精神の常として神経症的ではあるが(ファンファンファンファンファンカーゴ!)、強固な論理性の蓄積で精読すべきではなく、日本的な阿吽の呼吸で、つるっと通読するほうがわかりやすい本だ。作者の精神のスピード感にのっかると、えもいわれぬ知的興奮がある。

  大友良英とか、有名な(ジャズ以外の)人との対談はかなり示唆に富む話が多かったように思う。
 願わくば、講義の時の音源を一緒に売って欲しいところだ。ま、著作権とか、大人の事情も多分あると思うけれども。

『黒人リズム感の秘密』(asin:4873020093)以前の感想http://d.hatena.ne.jp/hanjukudoctor/20070214

 唯一残念なところは、『憂鬱と―』と『アルバート・アイラー』で、本の大きさが違うことだ。本棚に並べたときに、美しくないの。