- 作者: 山本七平
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1987/08/01
- メディア: 文庫
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イザヤ・ベンダサンの変名で『日本人とユダヤ人』を書いて売れ、本多勝一と喧嘩をしたりしたことでおなじみの山本七平が、自己の体験を元に日本軍の「体質」を回想した本。
なんて憂鬱な本であるか。
陸軍の体質は、今、組織の中に生きる我々の抱える問題そのままである。鉄拳制裁とかはないものの、年次主義や員数主義などは、過去に属したことのある数々の組織でも、程度の差こそあれ、同じ様な粉塗は目にしたものだ。
企業、大学・中学・高校の部活などにおいても、いやむしろ、特殊な原理原則なしに日本人の形成した集団では、これらの問題が必ず発生すると覚悟しておくべきなのだろう。
我々はそのことに対し無自覚過ぎる。
ゆえに、陸軍でいうと、敗戦直前、のような状態になると、バーサークせざるを得なくなってしまうのだ。
集団に過度に肩入れし過ぎると、負け戦においてひどい目に遭う(逃げ損なう)。
しかし、勝ち戦だからといって、集団に埋没するのもアンフェアな振る舞いではある。
しかも、集団に肩入れをしすぎない、ほどよさというのも難しい。
集団に帰属しない場合は「シラケ主義」「個人主義」という言葉で括られるような態度しかステレオタイプがない。
もうちょっと緩やかな紐帯を得ることが理想だろうが、批判精神を忘れないようにするには、一体どうすればいいんだろうか。
ちなみに姉妹編として:
日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21)
- 作者: 山本七平
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2004/03/10
- メディア: 新書
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- 作者: 森本忠夫
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2005/08
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の二つは、僕の書棚にもありますが、大変興味深い本だと思います。
最近尖閣諸島の件で、国論が揺れております。はっきり言えることは、現在の日本には、日中戦争前夜以上に、戦略というものがないということです。
受験で失敗して浪人して、同じ試験を受ける時にはさー、さすがに、同じ失敗は繰り返さないものじゃない?
けど間に70年ほど挟んでるけど同様の局面でよく歴史から学ばないものだなあと思う。
「経済大国」とか「自衛隊の能力は高い」とか、そういう言説を我々はやすやすと信じる。
けど、それは日中戦争前の、日の丸振って興奮していた国民と、ほとんど進歩していない。
まあ、オルテガいうところの大衆は学習をしないものであるけれど。