半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『引き継ぎ CHANGE & EDUCATION 生産性を3倍に跳ね上げる』

実は2年前くらいから「引き継ぎ」に並々ならぬ関心がある。
神戸大学の精神科の教授、中井久夫先生が「引き継ぎ学」みたいなものが必要なんじゃないか、ということをエッセイでポロッと書いていた。

実際、複数の医療機関を赴任→退任、着任→を繰り返した身としては、医師のカルテの記載は、めちゃくちゃ属人的で、引き継ぎしやすいカルテもあるし、引き継ぎしにくいカルテもある。*1

やっていることの言語化、客観視ができている医師は読みやすいカルテを書くし、そういう場合引き継ぎは容易。そうでない場合はゴニョゴニョ…*2

働き方改革』によって医師の仕事も主治医制からチーム制にかわる必要がある。ネックとなるのは、やはり医師のカルテ記載。属人的な仕事ぶりがカルテ記載にもっともよく表れている。*3

診療の継続性ができうるカルテ記載とはなにか、ということをつらつらと考えているのだが、世の中には中井先生のおっしゃった「引き継ぎ学」というものは、まだないのである。「失敗学」とか、そういうもののような「引き継ぎ学」というものを探している。

そんな中でこの本。
会社における「引き継ぎ」を描いたものである。

結論としては、直接役にはたたなかった。
しかし、通常の会社組織においても、営業など属人的な要素が強い部分では、いまだにチーム体制にはなっていない会社も多いし、医療分野よりも段違いに優れた意思伝達ツールがあるわけでもないこともよくわかった。

 結局、自分で作らないとだめなのか…

本にもどろう。
営業のエース社員がやめることになって、業務の引き継ぎに難渋していた会社。
この際だから、属人的な形態をやめて、チーム体制に移行できないか?という経緯がナラティブな形で語られる体裁をとっている。

要するに、有為な人材が抜けるというのはピンチではあるが、同時にチャンスでもある、ということ。
その形づくりを行うことこそが組織の本質であるということ。という話だった。

以下、備忘録:

  • 日常的な仕事の引き継ぎ、後任に託す引き継ぎ。
  • 引き継ぎで何らかのトラブルを経験した人は86%にのぼる
  • 「目的」「時間軸」「矢印」
  • 守りの引き継ぎ、なのか、攻めの引き継ぎなのか。
  • 引き継ぎの本質は「変化」。1:考え方の変化。2:仕事の変化、3:組織の変化
  • 最初に取り組むのは「変えてはいけないものの確認」。「約束」は人と人との間でかわされるものだから。約束だけは個人の自由にならない共有財産。
  • 仕事は引き継ぎを通じて成長する。
  • 「注意」は有限。配分が大事。未来60%、現在30%、過去が10%くらいのバランス。
  • 説得のテクニック(モヤカチ、カチモヤ)

 なんか系統的な、読んだだけで頭がよくなったような気にさせられる本ではないが、実践的な経験がきちんと普遍的なものに昇華されている。面白い。ただし、自分たちの領域に敷衍するには、自分できちんと考える必要がありそう。
 しかし、引き継ぎについて、ピンチではなくて、チャンスととらえるべき、というメッセージは結構刺さったなあ。その意味で大きな意味があるなあと思った。

 うちの組織で引き継ぎがうまくいった事例といかなかった事例を考えると、うなづける様な気がする。
 
 「引き継ぎ」について、もう少し見聞を深める必要がありそうだ。
「業務の標準化」という観点で本を探した方がいいのかもしれない。

*1:このあたりは電子カルテ世代とそれ以前でも少し様相が異なっているようにも思う

*2:この場合は診療自体が俺流過ぎる場合と、診療はスタンダードだが、あんまり書いてない場合と、二通りある

*3:もちろん、人のことばかり言えない

『もしも、東京』

都市文明生活者の日常を切り取るアート・コンピレーションなのだと思う。
日本なのでメガロポリスの象徴として「東京」となっている。

東京の近未来を描く、イラストレーションとか、短編マンガとか、エッセイとか。
いろんな人が寄せ書きしているのが面白くもあり、多少食い足りないところでもあり。
同人的な作りではあると思う。もしくはムック。

近未来トーキョーのデジタルなところ、バーチャルなところ、ディストピア東京。
色々なイメージがあっておもしろいけど、
太田垣康男氏のデビュー前の半自伝的な漫画が、自分的には一番染みたなあ。
ただ自分が歳をとっただけかもしれない。
未来を描くのに、過去を描くというのも、一つの手法ではあるよな。

Kindleも単行本も 3960円。
これ、Kindleで買ってしまったけど、リアル書籍で形が残るように買うべきものかもしれない。
本棚に見せびらかすタイプのもの。
もしくは本棚に埋め込んでおいて、数十年後に見返すようなタイプのもの。

しかしそこまでの強みがあるかどうか……

個人で閲覧する以外に広がりがないKindle版にはこの値段の価値はないと思う。
では、幾らの値付けをするのか。
1000円を切るくらい?

『稼ぐがすべてーBリーグこそ最強のビジネスモデルである』

バスケットのプロリーグ「Bリーグ」の立ち上げに関わった方の体験を通して、経営というものを語ったもの。
私はスポーツ全般に疎く、バスケにも興味はないけれども、ニュース報道などを通じてもバスケは以前よりも盛り上がっていることは感じるわけで、そういう国内のスポーツリーグをどうやって立ち上げ、導いていったか、が面白かった。

それまでは2つのリーグが混在していた(NBL, bjリーグ)のを統合させてすり合わせるのではなく、新たな統一リーグを作るという形で始めたからこそ、仕組み自体にイノベーションを起こす必要がある反面、しがらみを断ち切って思い切った運営ができた、述懐する。
そこに川淵三郎さんというすぐれたリーダーシップと外圧(FIBA)、さまざまな思惑を結果的にはうまくまとめることができた。

バスケは競技人口の男女比が均等で、実は世界一競技人口が多いスポーツ、40代以上は関心がすくないなど、経営における前提条件を考察して一般解に導くあたりは、経営の話として普遍的なものでした。

・「べき論」で語る
・過去の延長線上で物事を考えるな
・「何がしたい、できます」より「こうあるべきでこうしなければならない」と自分の言葉で語れる人
・自分より優秀だと思う人しか採用しない
・本物のリーダーは「傾聴力が高く、話したとしてもシンプルな表現のみ。そして何よりも飾らない。いつでもオープンだ」
・戦略という綺麗な絵は誰でも描ける。今のスポーツ界に足りないのは、この強烈なリーダーシップ
・ただ単に方向性を出すだけでは一流、それに合わせて根拠まで添えられると超一流
・大きく変革してゆく時には独裁者は必要。ただし、私利私欲をもっては絶対にならない
・GIVE&GIVE&TAKE
・究極的には、人間は社会と関係をもつことに意義があるのだ、と

分野違いの経営の話は、すぐには参考にはならないけど、リーダーシップ、広報、システムづくりなど勉強になるなあと思った。

2021年買ってよかった【マンガ編】

今週のお題「買ってよかった2021」
Kindleの功罪だが、場所を取らない分、めっちゃ読んでしまえる。大作を購入しても物理的にかさばらないのはありがたい。

吉本浩二ブーム

おこづかいマンガこと『こづかい万歳』と『日本をゆっくり走ってみたよ』いずれもかなりの衝撃作であった。この人すげっ。こわっ。
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作中人物がジョン・トラボルタよろしく踊りだすところが個人的にはツボです。

仕事論

せんせいのお人形

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「教育とは何か」。みたいな漫画。
鈴木先生とは全く違うアプローチ。
極端な状況で本質をあぶり出す手法。
となるとこれはSFだな。

はたらくすすむ

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定年退職後のおじさんがピンサロ店に勤めていろいろ体験する話。なんつーかよくできた小宇宙だと思った。オーナーの多業種投資家に憧れた。

Artiste(アルティスト)

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年末にたまたま読んだ。
「仕事漫画」としてよく出来てる。

2021年はアウトドアとかキャンプ関係に興味が湧いていたので、名作山漫画2つにアクセス。
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平地のキャンプなんてほんま安全やなー。山って怖いなー、とつくづく感じる漫画。
山は死が近い。
あと、こんな風に山で極限状態になって生還したら、生命危機の裏返しで発情の原因になる。そりゃセックスするわな、と思った。
というわけで娘さんやー山男にゃ惚れるなよーは真実。

クーロンジェネリックロマンス

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茶店のマスターが女子高生と淡い恋情という前作とは違った世界観で、しかし十分面白い。
時々SFであることを意識させられる。
登場人物の胸の形が良すぎることだけが、ひっかかる。

葬送のフリーレン

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最近やたらとある異世界ファンタジーものの中でも「無限の生命があったら」という仮定でストーリーテリングを行っているところが趣深い。
「魔法」が当たり前の世界で何がおこっているか、というのも面白かった。魔法が進化していくなんて考えたこともなかったな。

ロジックツリー

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大家族わちゃわちゃもの。少女漫画の語法は人間関係の微妙なんを描くのが得意。

ファブル

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大阪ヤンキー漫画「ナニワトモアレ」が苦手だったので読んでいなかったけど、まとめて読んだらとてもおもしろかった。
映画版はちょっとシリアスに寄り過ぎ&混戦まで放置しすぎ、と思った。

異世界もう帰りたい

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水木しげる異世界転生。もうこのフックだけで笑えるが、笑い続けるにはいささか長く、途中で鼻白むところまで、趣きがある。
その意味ではクイーン・コングに似ているかも。
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完結

進撃の巨人、バトルグラウンドワーカーズ・サマータイムレンダ・フルーツ宅配便、衛府の七人、魔法少女ASKA、ペリリューも完結。
特にバトルグラウンドワーカーズは、全8巻でどんでん返しにつぐどんでん返し。
これ名作よ。
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ダンジョン飯もおそらく完結間近。

その他

なんだかんだ言って転生もの結構読んだりしているよね。
幼女戦記、野人転生とかも読みました。
あと、Blogにも書いていないけど、ヤマシタトモコ、虚構推理、スウィンギン・ドラゴン・タイガーブギ、
今際の際のアリス、アライブ、カケグルイなどを読んだりしました。
ODD TAXIはアニメ面白かったですよね。

という感じでした。
2022年もよろしくお願いします。

2021年買ってよかったもの【書籍編】

今週のお題「買ってよかった2021」

2021年。コロナイヤー二年目。
出張が減ると、移動時間も減り、読書時間は減ってしまうのである。*1また精神的には低調で、その面でも読む本は減った。

経営者として必要なのは「未来」を見通すこと。
しかし、コロナ禍という現象は、それまでの未来予想図を大きく覆すもので、より視野を広げる必要があった。

未来を見通す努力のベクトルも、また少し変わったように思う。
既存の組織の完成度を高める工夫よりも、組織としてのレジリエンスを高める必要がある。
それには別のパラダイムにおいても残る本質を考える必要がある。

それで、藪睨みというか、分野違いの本が多かったように思った。
 かといって、現時点では利き筋でもないので、皆様のお気に召すかどうか。

あ、あとは投資とかそういう金儲けの本とか、アウトドアのキャンプの物欲の本とかそういう本はいっぱい読みましたけど、あえて取り上げるものでもないので、割愛しました。

サービスとは

京大変人講座を読んで面白かったので、その方の著書を読んでみた。
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「サービス」とはなにか。サービスの関係性は常に矛盾をはらみ、弁証法的に媒介されている相互作用である、という結論。
多分これだけを見てもちんぷんかんぷんなので、できれば一読をおすすめする。
さらっと行きたい場合は京大変人講座の一章がおすすめ。

現在これを読んでいるが、なかなか読み進まないなあ。読書界の八甲田山や!(彦麻呂風)

金儲けのレシピ

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これも商行為についての本質論。オブジェクト指向とも言える。

地域社会

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先日の日記にも書いたが、4波・5波で田舎に引きこもっていた。
その行動に思想的なバックボーンを与えることができたのは、この『里山資本主義』『進化する里山資本主義』に出会った面も大きい。
「平凡な田舎」と僕がぼんやり思っていた中国地方は、海も山も自然資源に恵まれた素晴らしいところなんだ、と思うことができた。
ここに生きて、この地の自然を守り、地域のコミュニティを守る。
それも悪くない生き方なんだなあ。と思う。

コロナ禍で

『2025年、人は「買い物」をしなくなる』『買い物ゼロ秒時代の未来地図』
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コロナ禍で加速したデジタル化およびネット社会で、人の購買行動はどう変わっていくのかを概括した本。
おそらく議論をするにはこれくらいを下地にしておくのが手間が省けていいと思う。まず読もう。

Well-Being

フルライフ
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これも話題になっていたから読んだが、コロナで揺らいだ我々のアイデンティティを、原点に立ち返るには、ちょうど良かったようには思う。
若い人にとってはどういうふうに響くかはわからないけど、僕と同年代の人には、人生の総括をどうしてゆくかという点でも、興味深いところだ。

『セルフトークマネジメントのすすめ』

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自己啓発系のビジネス書もいろいろ読んだけど、昨年あんまり刺さるものはなかった。
これは、それなりに納得できる内容。セルフ・マネジメントとしては納得できる内容だし、これって特に漫画文化の日本では受け入れられやすいんじゃないかと思う。
雲形吹き出し(考えていること)=セルフトーク、ということだから。

無理ゲー社会

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安定の橘玲。これも世相感をよく切り取っていると思う。
ではどうすれば?というところは自分で考えるしかないわけだけれど。

『権力に翻弄されないための48の法則』上・下

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これは草の根マキャベリストにとって非常によい内容。
人間関係のもろもろについて、因数分解しやすくなる本。ただ、量多すぎ!
フランスの政治家タレーランに興味がわいたので、今年はその辺の本を読んでみよう。

はらだ有彩

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古くはナンシー関斎藤美奈子ジェーン・スー女史を初めて読んだときのような読み味。
「この人頭いい!」と感じさせられた本。
別に難解でもなく、読みやすいです。

*1:中四国をそれなりに旅行していたが、そのときは車移動で、ガッツリ運転していた

2021年買ってよかったもの【モノ編】

今週のお題「買ってよかった2021」
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い申し上げます。
コロナイヤーの二年目である2021年には、いろいろな変化があった。

焚き火

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第四波以降、山間部にある古民家で、親しいジャズ仲間で集まって焚き火をしたりした。*1
古民家は20年ほど前に両親が廃屋を購入しフルリノベをした物件で、早い話が別荘である。
ここ最近は使っていなかったのだが、コロナ禍でどこにも行けない状況では救世主となった。
焚き火台、焚き火パーティーのためのグッズとか、そういうのを一式揃え、週末は庭先で肉を焼いたりダラダラお酒を飲んだりしていた*2
アウトドアグッズを何しろ買いまくったので、そこは結構お金がかかり、物欲を満たすのにはちょうどよかった。
アウトドア初年兵だったので、良し悪しはあまりわからず無我夢中で買いまくっていたように思う。*3
焚き火台はColemanのファイヤーディスク、SoloStove Campfire、Helinoxっぽい椅子、テーブル、ランタン。火起こしの道具、アルコールランプや料理グッズなどなど、すべてのアウトドアグッズを手当り次第、ドン引きされるくらい、モノを買いまくった。

幸い古民家に収納場所は腐るほどあるので、そこに置いておけばいいのだ。

ただし、古民家での焚き火パーティーは、アウトドアとも言えない。
ウォシュレットのトイレもあるし、寝具も、床暖もある。
冷蔵庫もあるから、クーラーボックスで食材を運ぶ、ということもしなくて済む。
あまりにここが便利すぎて、テントやタープを使った本格的なキャンプには発展しなかった。
今年はどうするか、考え中。でも多分やらない。時間ないもん。

Apple Watch series 7

Series 4からようやく7にアップデート。大きな変更点はないが、ライフログレコーダーとしてパラメーターが地味に増えていることに感動した。
シェアなどを考えるとデファクトスタンダードになりつつあるから、おそらくこの先ヘルスケア業界のICTを牽引するのであろうと思っている。
蓄積された情報を(本人の許可を得て)第三者が利用できる段階に入れば、進化はさらに進むんでしょうね。
それにしてもちょっとずつ性能が進化しているけど、相変わらず使用可能なバッテリー時間は一日前後なのがおもしろい。
バッテリーが長持ちするようには絶対に進化させないのだ。アップルは。なぜだ。

MacBookPro 2021 (14inch, M1pro, 16GB)

M1チップのMacBookAirがあまりに衝撃だったので、職場に据え置き用のMacBook ProをM1チップ製品が出れば買い換えようと決めていた(今まではMBP2016だった)秋に出たやつを、やや低スペックのものを買ったけど、動画編集はちょっと考えられないくらい速くなっていて驚いた。
ただし、そこまで機械を限界まで使いこなす機会もないのが正直なところ。
おじさんがスポーツカー乗っているようなもんだよね。

それにしても新しいMacBook Pro、MagSafeは復活しているし、HDMI端子とかそういうのも復活してごちゃごちゃしている。
USB-Cのみに収斂してゆくという進化の方向性を「なかったこと」にして、過去のスタイルに回帰した。
なんか、社内の派閥抗争でもあったの?と言いたくなる。

ルーフキャリア

これについては過去記事を参照。
halfboileddoc.hatenablog.com
LEXUS UXは致命的に積載量が少ないという欠点を補えるので、いい買い物だったとは思う。
ただ、はずした時の置き場所に困るという問題は、未だ解決していない。
パラコードでガレージに吊り下げてやろうと思っているけど、いろいろ大変なのでまだ、そのまま和室に置いています。

SV-2

諸事情にて、ちゃんといい音のするステージピアノというかキーボードが欲しくなり、Korg SV-2を購入した。
私はキーボーディストの素養はないので、適当に弾いているだけだが、いわゆるFender Roseの音とかはすごくいい。
真空管アンプを仕込んでいるからだと思う。
各種エフェクトもアナログ感があり、初期の電気楽器の持つ「アナログ感」に満ちあふれている。デザインも丸っこくてレトロフューチャー感があり、かわいい。とても満足している。
問題点は重さ。重いね!キーボードって。
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ちなみにキーボードアンプは今まで持っていたRoland Cube Streetを使っているが、今ひとつしっくりこない。おすすめありませんか。
10月の地元のジャズフェスで弾いてもらったので、大林武司さん(MISIAのサポートピアニストでもある)のサイン入りでもある。
いいでしょー。(ちなみに後ろには置き場所に悩んだルーフキャリアが鎮座ましましている)

ソーダストリーム

上述の焚き火パーティーの時に大活躍。
水の代わりに炭酸水を飲む人は案外多いということを発見した。そういう人にとってはちょうどいいんじゃないかな。
電力もいらないし、作業自体もなかなか楽しいですね。
ボンベをそろそろ買い足さないといけない。

一連のコーヒー道具

焚き火、アウトドア生活から、コーヒーを挽いて飲む生活に憧れ、この歳になって初めて定期的にコーヒーを飲む生活が始まった。
(このへんの経緯は、「コーヒーおいしさの方程式」 - 半熟三昧(本とか音楽とか)参照)
KOGUのコーヒーミル、ドリッパーから始めた。
のだが、結局自宅では、HARIO式のドリッパーと、電動コーヒーミルに落ち着いた。

最初は「挽きたて美味しいよねー」と言っていたが、お店で粉にしてもらってもいいんじゃないかなと思っている。多分だんだん堕落する予感はある。
というか、この生活に入っても、コーヒーが美味いと思ったことはないし、ブラックコーヒーも飲めない。
妻はコーヒー飲みなので拙い私の手挽きコーヒーを飲んでくれるのだが(私はコーヒー牛乳にする)。

まとめ

「立って半畳寝て一畳、天下とっても二合半」という言葉がある。
人生も後半になってくると、個人でお金使って衣食住をレベルアップするのも、もう限界だし、そもそもレベルアップする必要性さえなくなりつつある。自分のためだけでお金を使うのは限界がある。

人のため(家族であるとか、それを使う友人知人の喜ぶ顔をみたい)とか、そういう名目でお金を使う方が楽しい。
今年はそれを痛感した。

焚き火が楽しかったのでソロキャンプ…とも思ったけれどもそれには全く心を動かされないのは、多分そういうことだ。

歳をとることは、自分が主人公から脇役にまわることだと思う。

*1:その他主に四国の地方都市にセッションの遠征にいったり、集団行動が多い一年でした。

*2:私はどんな時もお酒は飲まないが

*3:後にアウトドア物欲番長となったので

「Artiste(アルティスト)」さもえど太郎

最近よくSNSとかで漫画アプリの宣伝があるけれどそんなサイトでちらっと観て気になった作品。
読んだら、面白かった。

フランスの話。

パリのレストランで働く気弱な青年・ジルベール。雑用係として、毎日皿を洗い続ける平凡な日々を送る彼だったが、陽気な新人・マルコとの出会いによって、世界は変わり始める。気鋭の新人が全霊で描く、すべて人々に贈るお仕事青春ストーリー。

自分に自信が全くないけれど、嗅覚と味覚は天才的な青年、ジルベールが主人公。
だけど才能は近しい人達には理解されている。「わかる人にはわかる」ってやつ。

半分引退した伝説のシェフ、メグレーが彼を副料理長に抜擢しレストランを立ち上げてゆく話。

ということで、グルメ漫画のようなつもりで読み始めたが、これがグルメ漫画じゃなくて「仕事漫画」なのだった。

集められたメンバーは、突出した才能を持つかわりに、様々な欠点を持っている。
明らかにアスペルガーだったり、自信がない性格だったり。
そんな人達が集まって一つのチームを作る。
当然うまくいくわけもない。
が、それぞれの特性を理解した上で欠点を補うようなマネジメントに奮闘する(主人公が。大変だよね!)
例えば魚料理を担当するリュカは、単純作業がむちゃくちゃ得意で質も高い。ただ、定形外のオーダーは理解できないし、言葉の含意もうまく忖度できない。大きな音が苦手で体を触られるのも苦手。休日はいわゆる常同行動をとっている。
アスペルガーのラベルは貼られていないが、明らかにアスペルガー
他のメンバーもなんやかや一癖も二癖もある。
そういう凸凹のメンバーで一つの機能性の高いチームが作られていく。
物語とはいえ、組織で働いた人にとっては、結構リアルなところがあると思う。
「チーム・ビルディング」「マネジメント」のお話として、よくできているのだ。作者は何者だ?

halfboileddoc.hatenablog.com

それから、主人公は、ひょんなことから、アーティストなどクリエイティブな人しか入れないアパルトマンに入居することになる。
この住居での住人のやりとり、例えば絵描きと話をすることによって、仕事の悩みが解決するのも面白い。
例えば、味はいいが、盛り付けが平凡だと主人公は上司に指摘される。
洗練された盛り付けを身につけるように、と言われて悩んでいたけれど、休日にアパルトマンの他の住人と話していて、絵や写真の構図や色彩学を絵描きからレクチャーされ、盛り付けの構図であるとかコントラストの付け方を理解するのである。
プライベートでのクリエイティブな素養が、全く別の仕事にも生かされる。

jazz-zammai.hatenablog.jp

「チーム・ビルディング」「マネジメント」「アート思考」
「仕事漫画」としてよくできているんだよなあ。

職場の人にも読んでほしいな、と思った。

とりあえず、主人公のジルベール、3巻くらいまで、8割くらいが恐れか呆れみたいな不安気な表情。
さぞやストレスフルであろうな、と思った。