半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

漫画『ファブル』がいろいろと面白かった。

映画『ファブル2』公開の番宣もかねて、メディアミックスといいますか、TVでも前作『ファブル』の再放送があり、SNSにも宣伝をあちこちで見かけた。

それをきっかけで読んだ漫画版が存外に面白く、あれよあれよと22巻まで一気読み。
「ナニワトモアレ」は割と苦手で、この作者の漫画を敬遠していた。
ファブルの主人公もリーゼント風の細眉だから、同じテイストかと思ってた。
食わず嫌いに後悔。

常人離れした能力を持ち、冷静沈着で、感情の揺れもほとんどない天然で天才的な殺し屋が主人公。
この主人公がとある事情で大阪のとある街に、一般人として(殺しを全く行うことなく)潜伏して暮らすところから物語が始まる。

筋書きや、主人公の魅力もさることながら、端々のディテールが面白く、くすりとさせられたりホロリとさせられたり(特に主人公のバディである「洋子」のアルコールの描写とかは、この作者ならではの味だ)
いずれにしろ、アクションありの裏社会話にしては、ファブルは異彩を放っている。

映画版のファブルは、岡田准一が主人公。
これはこれで面白い映画だとは思った。アクションもすごい頑張っていたとは思う。

ただ、漫画版は、孫子でいう「戦わずを上策とす」という感じ。戦いになっても機先を制して相手の戦力の無効化を狙う戦いをする。なので静かに戦いは終わる。
一方映画版。ド派手な大アクションは見応えがあるけれども、ド派手なアクション=乱戦に持ち込まれている時点で、それは能力が低く思えてしまう。
漫画版を素直に丁寧に映像化すると、絵的にすごく地味になってしまうから、そのバランスのとり方に制作は悩んだんだろうな。
(その意味では「よくできたアクション映画」という感じにおさまっていて、原作の異色っぷりは希薄ではあるように感じられた)