半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

神様のバレー

オススメ度 90点
進学校の男子校というところで共感度 90点

神様のバレー 1巻 (芳文社コミックス)

神様のバレー 1巻 (芳文社コミックス)

なんかTwitterとかで漫画読みアプリみたいなやつで宣伝されていたので読んでみた。
面白かった。

阿月総一は実業団バレーボールチーム<日村化成ガンマンズ>のアナリスト。とあることを条件に、全日本男子バレーボール監督の座を約束される。それは、万年地区予選1回戦敗退の私立中学校男子バレー部に全国制覇させることだった!

割と性格の歪んだアナリストが主人公。舞台は進学校の中学校の弱小バレー部。
相手の嫌なところを突いていくというスタイルと頭脳プレーが進学校の学力と問題解決能力はあるけど素直な男子たちにハマる。
万年一回戦負けから快進撃は、ドラマとしては出来過ぎだが、まあそれはしゃあないだろう。ドラマだし。

70年代から90年代までスポ根漫画は、才能=(それは、まあ言ってみれば、血筋ということになる)。そして、努力だった。
フィジカルの才能を重視したストーリーテリングが目立ったように思う。それの才能のバックグラウンドになるのは、大抵は血筋(お父さんの非業の引退劇の業を背負っているとか。巨人の星やね)
キャプテン翼とかは血筋による能力と努力。スラムダンクは、もともとの能力と努力。

ただ、そういうストーリーは現実の一側面ではありながら、すべてではない。
ゼロ年代になってから、頭脳プレーや戦略性を強調するスポーツ漫画が増えてきたように思う。
Jリーグでの弱小チームが徐々に強豪を倒していく漫画"Giant Killing"

コージィ城倉のひ弱な部員がキャプテンを任されリーダーシップに目覚めていく野球漫画 "おれはキャプテン"優等生がテニスと出会い、解析能力を駆使して成長してゆく "ベイビーステップ"などかなあ。

この手の主人公はどちらかというと類まれなフィジカルでライバルを凌駕するというよりは、競技そのものの本質と戦略性に気づき、相手の強みと弱みを分析し、ゲームメイクをしてゆく。
こういう選手は、昔であれば、ライバルとかによくあるありようだった。
気がつくとこういう属性の人たちが主人公になっていたのは最近の漫画の面白いところだと思う。

データや戦略性を重視しているようになった現実のスポーツ界を反映しているのか、それとも漫画を読む子供達に刺さりやすい設定だからか。

絵はとても丁寧で読みやすい。
キャラクターの描き分けもきっちり。
バレーのことは僕はよくわかりませんが、まあ荒唐無稽な話はありません。
ただ展開が早いからしょうがないのかもしれないけど「武器」になりうるテクニックが二週間くらいで身につくのは、ちょっとどうかなあと思った。
例えば、僕ら音楽でも、一つの語法を覚えるのに、数ヶ月とか、下手したら一年くらいかかったりもする。
身につけやすいものをピックアップしているとしても1ヶ月はかかるんじゃないかとは思った。シナプスに定着するまでには。