半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

「コーヒーおいしさの方程式」

2020年までと2021年には僕には大きな変化があった。コーヒーを飲むようになったことだ。
コロナ禍でステイホームを強いられているときに、郊外の古民家で焚き火キャンプをするようになった。
結局春から秋にかけて合計十数回古民家泊で遊んだわけである。

その時にコーヒーをコーヒーミルで挽き、ハンドドリップで飲む友人達の行為が僕の目には大変シャレオツに映った。
キャンプの人ならわかると思います。
問題は私自身はそんなにコーヒーは好きではないということであった。
「なんであんな苦いもの飲まないといけないの?」と思っていた。

しかし、キャンプ動画をみるようになりチュートリアル徳井の「徳井Video」で彼もブラックコーヒー飲めないことを知った。
徳井に後押しされて、ブラックコーヒーのめなくてもコーヒ作ったらええやん、の精神でコーヒーを作るようになった。

結果的に、現在自宅で朝はかならずコーヒーを淹れる。二人前 300ml 淹れて、妻に200ml(ブラック)私は 100mlほどいれてコーヒー牛乳にする。

ただ、コーヒーのうまさがわからないので、コーヒーの淹れ方がわからない。
コーヒーに詳しい親しい友人に解説してもらって、ずいぶんわかったことも多いが、やっぱりわからないことが多い。
まだ、手技が安定しないのである(ラボ用語)。

これを読んでみた。
コーヒー業界では有名な方のようだが、素人なのでよく知らなかった。
なるほど、なるほど。
1980年から現在に至るまでのコーヒー業界の変遷を踏まえて詳細に解説されており、よくよくわかった。
(コーヒーに限らず、僕は結局「今どうなっているのか」だけではなく、過去の文脈を知らないと気が済まないタイプのようだ)


スペシャリティコーヒーという言葉、私には無縁だと思っていたが、コーヒー文化自体の発展が、今の良質なコーヒー豆を入手できる契機になっている。
そうか、昔のコーヒー豆は必ずしも美味しくなかったんだ。
それが自分がコーヒー嫌いになっていた理由なのかもしれない。

おいしいコーヒーにたどり着くためには、豆の選別・精製・焙煎・抽出などすべての工程をきちんとしないとだめらしい。
すべての工程について詳細な解説がある。
コーヒーの「酸味」の問題
ツーリスト方式・ブラジル方式、アラビカ・ロブスタ種、精製(乾式・湿式)、枯れ豆(ビンテージコーヒー)、焙煎、キレとコクについて。
すべてにおいて、脂っこい解説が続く。
おもしろい。


コーヒーの抽出については、お茶とは本質的に違うというのには納得できる。

コーヒーをおいしくいれることは、紅茶をおいしくいれることよりはるかに難易度が高く、完璧などという言葉は使えません。なぜかというと、紅茶に比べてコーヒーには雑味のもとになる夾雑物、つまり”味の不純物”がやたらと多い。そのため、不純物を表にださないような高度な抽出技術が必要になるからなんです。

紅茶は夾雑物が少ないため、よい香りの成分をいかに濃く/薄くだすかに注力すればいいのに対し、コーヒーは「美味しい成分を適切に抽出し、同時にまずい成分を抽出しないようにする」という二律背反的なことを同時並行しておこなわなくてはならないそうだ。

なるほどなー。
それにしてもコーヒー道は奥が深いね。
この分野においては日本人のやたら細かいマニア道が味方しているように思う。
日本のガラパゴス化も捨てたもんじゃないなーとは思った。