オススメ度 90点
ほほう!度 100点
Kindle日替わりセールで購入かな。
東大というのは、もともと国の為になるための士を育成するためのものであったが、京大というのはそのカウンターカルチャー的な立ち位置を現在に至るまで保っている。日本国政府に対していささかシニカルさを保っているのが京大的なスタンスであると言える。
その意味で、権力迎合的でなく、知のヒエラルキーからも自由。
ステップ・オン・バージン・ピーク(Step on virgin peak=未踏峰を踏め)
「ふだんの世界にいながらにして、すべてを疑う」
討論=ディベートよりも対話=ダイアローグ
こういうスタイルが、由緒正しい京大スタイルといえよう。
この本は、越前屋俵太をナビゲーターに(この人のテレビ業界からの距離の置き方もいささか京大的なスタンス)、一般の人にも「へーえ」と思ってもらえるような自由なスタンスの学問領域を紹介している。アンソロジーなので、すべてのことに対して刺さるわけではないだろうが、面白い考え方をいくつか取り入れることができた。
個人的には「(2)なぜ鮨屋の親父は怒っているのか?」が非常に面白かった。
従業員や部下のサービスとか接遇を良くしたいな〜と思っている経営者は多いと思うけど、そういうベタな思いを斜め後ろからぶん殴られるような衝撃があった。この人の本をもう少し読んでみよう…‥
昨今は「失敗学」とか「意思決定支援」とかコミュニケーションに関する学問だとか、世の中のあらゆる領域に関して、学問的な統合が行われている時代。
ありとあらゆる事象に対して、それについての学問がある実に楽しい時代ではある。
でもね、今眼前に見えているものを学問にしても、そこにはあまり意外性はない。
京大的な、超賢い人が放つ、射程外からの衝撃は、なかなか通俗的な概念を破壊する快感があるね。