半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『金儲けのレシピ』

オススメ度 100点
あからさま度 120点

金儲けのレシピ

金儲けのレシピ

最近Webの記事で「なぜ大塚家具は失敗したのか」というプレジデントオンラインの記事が気になったので、本を買った。
president.jp
思ったより短い本の割に値段はKindleで1400円もする。
しかしうん、たしかに面白かった。

結局ビジネスの要諦はお金を儲けることだ、と言い切る。
そのためにはどうするかというのを、シンプルに要素分解して切り取ってみせる手法。

  • LTV(ライフタイムバリュー)>CAC(顧客獲得コスト)のバランスが大事
  • 「誰にも、簡単に、必ず儲かる」はありえない(もしそれが真実なら限界利益がゼロになるまで参入者の増加が続くため)
  • まともに商売をすれば、最終的に自分の労働コスト分しか手残りが残らない(完全競争市場においては、理論的には利潤はゼロになるはず)→だから、情報の非対称性や、特殊な理由で『完全競争市場』にならない市場を発見する必要がある

 というのは、目からウロコだった。
 確かにそうだ。
 Youtuberやブログのアフィリエイトが今では儲からない市場になっている理由の説明がつく。
 参入者が十分増えた市場においては、望外の儲けなどは期待できるはずもないのだ。
結局儲けというのは、アービトラージなんだ。

やわらかい経済用語や経営学で使われる『ビジネスモデル』の舞台裏をさらに解き明かす本。
ビジネスモデルという完成形に至るまでの力動線をさらにベクトル分解したのが本書ということになる。

halfboileddoc.hatenablog.com

一般的なビジネスモデルを、この「金儲けのレシピ」本を踏まえて要素分解するとより理解が深まりそうに思った。

たしかにこれは力を持った本だ。
情報商材というよりはむしろ狐憑きを落とす効果がある。冷徹な視点で書かれている。

むしろ、社会的な使命のために起業しようという人にこそ、こういう「悪い考え」をきちんと取り入れて、その上で自分のやりたいことをやる、というのが大事だと思う。

ほら、鬼手仏心っていうじゃないですか。