異世界転生ものについては色々言いたいことはあるが、そういう漫画や小説が流行っていて、僕もかなり読んでいるのである。
最近は悪女転生ものもたーくさんあるよね。
そういう異世界転生ものの中で、異彩を放つのは「騎士団長島耕作」だったりするのだが、
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このドリヤス工場描く「水木しげるタッチの異世界転生もの」もかなり異彩を放ち、なおかつ面白かった。
水木しげるの漫画の主人公によくいる「サラリーマン山田」然とした下山口一郎。
彼がひょんなことから、異世界に召喚されてしまったところから話は始まる。
血湧き肉躍る大冒険…というわけでもなく、ちょいコミュ障気味の下流サラリーマンの視点で物語は進む。
例えば、街の食堂でラーメン的なものを食べるときに、空席の並びをやたら気にして、隣におっさんが来ないように……と念じているが、おっさんが隣に座ってしまう…というくだりだとか。
完全に、サラリーマンの日常生活をファンタジー世界に引き写しているのである。
その意味では下山口一郎は、地に足ついていて、やたら冷静かもしれない。
しかしそんな淡々とした中でも、下山口はあちこちを冒険し、いろんな人に会い、
世界の秘密が解き明かされ、やがて、大団円を迎え、下山口は現実世界に戻る。
もっさりとした水木しげる的な世界であるが、異世界譚としてなかなかよくできているとは思った。
面白いよ。ふはっ。
なんかね、主人公をめぐる周囲の世界の感情の平板な感じは、吉田戦車の作風に似ているのかもしれない。
ちなみに、ドリヤス工場は
文学作品をぜんぶ水木しげるでやってるでも有名だが、これも、とても面白いのでおすすめ。(まあ有名文学作品✕水木しげる という出オチ以上のものはないのだが)