半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『スウィンギンドラゴンタイガーブギ』

まあ、ジャズおじさんなので、ジャズ漫画があったらとりあえず読みます。

しかし、これは 敗戦後の音楽=ジャズってだけで、僕らが思い描いているジャズとはちょっと違うかも。
まあ戦争中いろいろな目に会い、傷をおった人たちが、それぞれ別の思いもあるけれどもバンドを組んで音楽をやる話。

敗戦後の独特の価値観の倒錯、時宜に適応しているものと適応できないもののギャップともどかしさ。
新しい時代を生きる、みずみずしい話が多いけど、まあ若者なので、主人公の女子とかも、まあ徳が低い煩悩ぶりを見せつけてくれる。(まあ戦後、徳の高い人は餓死してしまう。生きていくのにはしょうがないのかも)

そういうのが、微笑ましくもあり、げんなりする部分でもあり。

米軍キャンプにいたベースのうまい黒人が、朝鮮戦争で負傷してしまうくだりなんかは、なかなかの無情感。

* * *

今のコロナ禍。
塹壕戦のような不自由さが生活についてまわる僕らは、「別の世界」の描写に過度にコミットしてしまうのかもしれない。
それに、この生活の変化に対する適応と不適応とかも、我々が試されているのも、これはこれで戦後の過渡期に重なるところがある。

最近思うけど、ジャズのクオリティとかそういうのも大事だけど、みんなで音楽という成果物を作り上げて、「合わせる」ところに、価値があるのかもしれないなあと思ったりする。…とか自分が思うのは、やはりコロナ禍の分断で、孤独感を感じているからかもしれない。