オススメ度100点
動画もご一緒に!度 100点
すごいジャズには理由(ワケ)がある──音楽学者とジャズ・ピアニストの対話
- 作者: 岡田暁生,フィリップ・ストレンジ
- 出版社/メーカー: アルテスパブリッシング
- 発売日: 2014/05/26
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (8件) を見る
クラシックの専門家岡田暁生氏がフィリップ・ストレンジのところにレッスンに通っていろいろ面白かったので対談記事を作ってみた、という本。Youtubeにもこの本の内容の動画が挙げられている。興味があればまずそちらをみてもらえばいいと思う。
第1章「アート・テイタム」前篇〜『すごいジャズには理由(ワケ)がある』
僕もまず動画を観てから本を買ったのだが、動画だけだとつらっと過ぎてしまうようなところも、本だと理解しやすい。
反対に、本だけだとわかりにくい部分も、動画で、フィリップ・ストレンジ氏の実演が付いていると理解しやすい。
Youtubeと本とメディアミックスすると最も楽しめると思う。
私はアマチュアのジャズ活動をしているのでこういうジャズのスタイルについては比較的詳しい方だと思うが、それでも、フィリップストレンジ氏が、このスタイルはこういう感じで、とか紹介しているのはすごくためになった。
また、時代を切り開くようなジャズ・ジャイアントがどういうことを考えてアドリブや、サウンドを作っているか、ということも。
30年来、ジャズ・トロンボーンというのをやっているが、一つできることが増えると、五つくらい新しくやらなきゃいけないものが見えるのがジャズだ。特に6年前からピアノを始めてジャズピアノじみたこともやるのであるが、これがまたヤバい。フロントだけだったら、簡単に済ませていたものも、コード楽器のやり口というか、演奏の味付け、起承転結、フレージング、ボイシングには無限の可能性がある。
でもこの本を見て、自分に足りない部分がまだまだあることに気付かされた。アドリブ・フレージングの時の展開やボイシングの展開など。
一生かけてもここはもうたどり着けない場所なんだなあ…と嘆息する。
ただまあ自分の立ち位置というのも少しわかった。
ジャズでは、スウィートな音楽がはやる時代と、Biting(どちらかというとゴツゴツとした前衛的)な音楽の流行が交互にやってくる、という話。自分は紛れもなく、スウィートで破綻のないスムースな音楽が好きで、それに共感できるということだ。トロンボーンという楽器の特性もあるけれども、アバンギャルドな音楽よりも、よくできた精密機械のような音楽が好きなんだ。それは上下や貴賎があるわけではなく、ただそうである、ということになる。
まあしかし、動画と本と合わせて楽しめる。ジャズの知識がない方でも特に動画は特にわかりやすい。
入門編から中級編の間くらいに一度見ておけば、すげー理解しやすいと思う。