半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

北斗の拳スピンオフもの『北斗の拳拳王軍ザコたちの挽歌』『北斗の拳世紀末ドラマ撮影伝』

ま、日本も平和っちゃあ平和か。

北斗の拳。我々世代(私は1974生)の名作。
ただ、もう終わってだいぶ経つ。連載は1983〜88年。
ちなみに幽遊白書が始まったのが1990なのだから、やっぱだいぶ前だ。

ただ、舞台となった世紀末よりもはるか未来を生きている僕らが読み返してみても、十分楽しめる深みがある。
(物語的には完全に蛇足にはなっているラオウの遺児リュウ、それから記憶を失ったケンシロウ編のあたりが、個人的には好み)

2000年代には「エピソード・ゼロ」ブームにあやかって、北斗の拳の世界以前の『蒼天の拳』が作画原哲夫本人で作られたが、今回は、もうそういうのではなく、北斗の拳世界をディープに楽しむやつ。

考えてみれば、1980年当時でさえも、ちょっとアナクロ感さえあったシリアスな作風である。「愛と誠」とかの路線継承といいますか。
読者としてはストーリーテリングに感動しつつも、ツッコミを入れたい気持ちはふんだんにあった。
そんなわけで、ほとぼりが冷めた今、当時の気持ちが横溢している、ということなんすかね。



北斗の拳拳王軍ザコたちの挽歌』は異世界転生ものではないのだが、プロッティングは異世界転生に近い。
狂言回しの主人公ノブは、2020年代のZ世代的なメンタリティを持つ若者。拳王軍に半ば無理やり就職してしまう。
まあ、昭和の価値観とポストアポカリプス的な無法地帯であった「北斗の拳」の世界を、現代の価値観(メタ視点)で異文化ぶりを突っ込む。
まあ、それって異世界転生ものによくある「価値観の違いの邂逅」ってやつね。

北斗の拳世紀末ドラマ撮影伝』は「北斗の拳」が漫画ではなく「実写版ドラマ」として考案されていたら、どんなメイキングになっていたか…みたいな話。
この世界には「北斗の拳」はなく、まあマッドマックス的なドラマを日本のTVで撮影しているという設定。
いろいろ紆余曲折あって、結果的にはこの撮影現場でいろいろアドリブもかまされた結果が、今ある漫画「北斗の拳」とほぼ同じ(ただし実写版ドラマ)になっている、という、これもちょっと面白いひとひねりだ。
要するに、ドラマの設定やプロッティングとして無理があるところを、現場のトラブル解決や、キャスティングの問題で、むりやりこうしたのではないか…
みたいな、二次創作。

まあ、面白いんですけど、原哲夫タッチに寄せようとしている絵は、かなり精細で目が疲れると思った。
あと、北斗の拳スピンオフ、もうちょっとあるんやな!

これは典型的なやられキャラ、アミバとジャギが主人公。アミバ異世界転生ものらしい。聖帝サウザーの意味なしパロディ。まあ、劇中でも屈指のシリアス度を誇るサウザー。おちょくりたくなるのは、まあ、わかる。

レイの外伝、ラオウの外伝、世界は核の炎に包まれなかったDD北斗の拳

多すぎて流石に把握しきれない…