確かこれの前作なんだろうか、『世界の辺境とハードボイルド室町時代』
は読んだことがある。ソマリランドとかのいわゆる「無法地帯」での人々の行動様式と、室町時代の人々の行動様式が、結構似ているよねー、という話。
ソマリランド側の高野秀行氏の著作を追いかけている時に読んだような気がする。
これはその相方清水氏のホームグラウンド、室町時代研究の一端をわかりやすく垣間見せてくれる本。
室町時代の物語・説話集をとりあげて、その人々の行動規範とかの現代との違いを見せてくれる。
・今にも残る「お前のかあちゃんでべそ」の由来
・昔は自分の利害を守るために暴力を行使することを悪とは考えていなかった
・昔の自営業=文字通り一国一城の主だった。
・ムラ同士の確執、100年にも渡る戦争の記録
その他、人身売買・奴隷の話、ケガレの話、荘園の話など、興味深い話がいろいろ。
室町時代というのは、「網野史観」とかでも有名になったように、価値観の大きな転換期でもあり、現代の我々からは今ひとつよくわかっていないところがあるよなあと思う。