半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

2020年買ってよかったもの【モノ編】

#買って良かった2020

あけましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいします。
2020年は、年間20回以上行っていた出張(学会や経営セミナー、講演会すべて含む)がすべてなくなり、ステイホームを余儀なくされました。
しかし、それはそれで結構自分の生活の見直しができたように思います。
書斎での自分時間が増えたため、引っ越してから一度も片付けられていなかった自室の片付けに着手できたことが大きかった。

PCまわり

というわけで、あちこち出張に行くスタイルから、平日夜や土日は死んだ魚の目をしてモニターの前でZoom会議などをしていることが増えました。必然的にPC関連のガジェットが増えた。

Dell UltraSharp 24 Monitor - U2421HE

誰かのブログで紹介されていたので購入。外付けのモニターが一枚あるだけで作業効率は劇的に上がる。おまけにモニターとUSB-Hubの機能が合わさっていて、有線LANなどもこのモニターに接続できる。
Macbook AirをUSB-C一本させば、モニターにもつながるし充電もできる。有線LANにもつなげられて、PCまわりが非常にシンプルになりました。Macbookのサブモニタとしては最適だと思います。

JBL Pebbles

Macbookのスピーカーは結構音がいいのですけれども、作業机では、外付けのスピーカーがあってもいいなと思って購入。これもUSBをMacそのものではなくてモニターのUSB端子に挿しておけば勝手に認識してくれる。私はスピーカーはJBLで揃えているので自動的にこれ。
ちょっと丸みを帯びたデザインは机周りのアクセントになると思うのですが、モノがありすぎてそこはあんまりうまくいっていません。

M1 chipのMacbook Air

halfboileddoc.hatenablog.com
これもすごいと思いましたが、Macbook Air 2018→Macbook Air 2020なので、まあ感動の効用としてはそれなりでした。
あと、Majexstandは僕的にダメで、Kickflipを買い直したことはここに書いておこう。

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その他、Anker製品のUSBハブとか、充電器とか、いろいろあるけど、とりあえず。Apple Watch Series 6は買いませんでしたが、その頃一緒にでてた留め金ないベルトはすごく使いやすくてオススメ。
また、息子(小6)が本格的にPCいじりだしたので(Unity, Blendar, Java, Pythonとか触っているし、一眼レフとかするのでRAW現像もする)、僕の余っているPC周りのガジェットは全部彼の方に流れていく流通経路ができました。ほぼ電子要塞と化しています。

Bottega Venetaの財布

財布をどうするか、というのは、元自意識高いけど今はどうでもいいオッサンにとっては難しい問題。
悩んで悩んで、緊急事態宣言の頃の広島に買い物に行って、これにしました。正確にいうとリンク先のやつよりもワンサイズ小さい、ラウンドジップなのに長財布サイズのやつにしました。そういうのは他のブランドにはなかったので。
結果的に普段使うインナーリュックの内ポケットにちょうどおさまる。収納力は、まあ普通。
耐久性は、ちょっと悪いんじゃないかと思ってるけどまあいいや。買っといてなんだけどイントレチャートの良さがわからん。

Mont-Bellのダウンブランケット

(僕が買ったのはLでした)
車で移動中に眠くなったとき用に購入。
スナップと紐がついていて、巻いたり色んな形で使用できる。
今年は複数人で少し遠くのジャズのセッションに出かけたりしていたのですが、後席の人はこれを使う権利を与えられる。
大活躍。
後席の人は会話からも外れがちで、気がつくと熟睡。
あと11月に極寒の中、野外演奏(やる方も聴く方も)があったのですが、ひざ掛けとして大活躍しました。
高いけどコスパよい買い物でした。

ふるさと納税

2019年はとにかく限度額ギリギリまで利用したおしたふるさと納税でしたが、昨年税理士に言われたことが気になり(返礼品も一時所得に含まれるという…こんなん税法上のバグだろ!)今年は一時所得の控除枠50万円の枠内、つまり返礼率30%とすると 50÷0.3=166万を限度にすることにしました。
日常的な、お米、野菜、時々肉や魚、麺類などの基礎食料品を中心に購入しました。
お酒を飲む人はお酒を頼むのもいいと思うんですが私はほとんど飲まないので…
ちょっと贅沢してフルーツ程度。

しかし、出張にも旅行にも行けない今年だからこそ、ふるさと納税は旅行の代わりになった気がする。
行ったことがある場所は昔を思い出すし行ったことない所はサイトの情報を見ると旅気分が少し味わえる。
届いた地方の名産品を家族で共有できるのも一家団欒にはよかった。
来年以降も、お気に入りの特産を見つけていきたいと思う。
halfboileddoc.hatenablog.com
徳島の「大野海苔」たつの市揖保乃糸」奈良の「三輪そうめん」長崎の島原そうめん、信州そば、出雲そば、北海道のそば、下関のふぐ、愛媛の紅まどんな(ウマイ!)、北海道白糠町紋別町のホタテ、宮崎県延岡町の刺身、和歌山の柿、徳島のすだち、長野県のトマト、北海道増毛のさくらんぼ、市田柿ミルフィーユ、いろいろ買った。そういやまだ届いてないもの結構あるな。

ちなみにこれは一昨年だが、北海道の赤平、プロテカのキャリーケースはめちゃくちゃ使い勝手がよく、ヘビロテだった。
ブランド物のリュクスなスーツケースは虚栄心的には効用が高いけれど、少し重い。
モノとしての完成度は量産品の方が数倍上だと思う。壊れても直しやすいし。
あ、あとはTumiのリュックを買い替えたですね。

ナッツ

ダイエット、という名目で、今年の前半はナッツにはまっていました。ステイホームのおやつにはちょうどよかったんですけど……後半は飽きた。
アメ横の名店『小島屋』の無塩ミックスナッツにちょい足しで瀬戸内海の有機塩を振って食べるのがオススメです。
小島屋はドライフルーツも品揃えが豊富で、枝付き干しぶどうにも一時期はまっていました。

あと、小島屋のハニーバターアーモンドめちゃめちゃうまいから一度食べてみ。

浴室前の暖房

歳をとると、入浴の前後の脱衣所の寒さがこたえる。義祖母が来る時にヒートショックとか心配だ、という建前でこれを購入。
脱衣所がめちゃめちゃ暖かくなった!
QOL暴上がりでわらう。
もうほんと幸せ。
ただ、このコイズミのセラミックファンヒーター、買った初日から初期不良で異音がし、もう一度再配送してもらったのがやや惜しまれる。
ヒーター的にはなんでもいいとは思います。
次はトイレだな……

バルクオムシリーズ

ここ数年ひげそり負けで肌あれがひどい。
バルクオムシリーズを試してみたら(それまでは無印良品の化粧水と乳液など使っていた)肌あれがビタッと止まったのには驚いた。
今はリップクリームとハンドクリームもバルクオムにしていてバルクオムおじさんと化しています。ただ、高いわな。

服に金をつかわなくなった。

出張とかしなくなったので服を頑張って買う理由がなくなってしまった。そもそも服屋にも行かない。
なんなら脇毛と乳毛と陰毛さえ隠れていれば大丈夫、くらいの感じ。

ちょっと前から夏はポロシャツ、冬はニットポロとタートルネックのノームコアおじさんだったんで、流行りもないし、そのままな感じで今年は乗り切ります。

最近「ニットものはグレードを少し落としたほうが若者に見える」というライフハックを見出した。
なのでジョンスメドレーのニットとか買うの、もうやめて、1万くらいのシンプルなニットを買ってます。なんの問題もないです。
靴もSkechersとかMerrellとかのスリップオンを買っていました。

まとめ

やっぱりコロナに影響されていますね。
DX関係の予算が少し厚くなり、旅行できない分、体験型消費としてのふるさと納税が強化されたように思う。
少しだけ暮らしが丁寧になったかも。
今年以降自分のライフスタイルはどうなってしまうのか、楽しみでもあり怖くもあり。

ちなにに 2019年版はこれ。
halfboileddoc.hatenablog.com

『他人を支配したがる人たち』ジョージ・サイモン

オススメ度 90点
怖い!度 100点

一時期、Daigoチャンネルを熱心にみていたが(最近はあまりみていない)、その中でダークトライアドというのが印象に残っていた。
ダークトライアドというのは、マキャベリズム・ナルシシズムサイコパスなどの性質を持つ性格。*1
まあ「ヤバい」性格のこと。こういう性格の人が職場にいたら大変なことになる、というやつ。
一番あかんのは、こういう性格の人が上にいると、排除もできないし、非常にやばい…というやつ。

今回の「他人を支配したがる人=マニピュレーター』も、総論的に言えば、このダークトライアドの性格を有した性格のことを指しているんでしょうね。

そういうマニピュレーター類型、そういうマニピュレーターのやり口、マニピュレーターに対する対処法をまとめて書かれており、割と「役立つ」本。

しかしこういう性格類型って、0か100かじゃないので、自分にもこういう性格要素があったら…とおもうと恐ろしいですよ。
(自己分析する限り、マキャベリズム要素はそれなりにある。ただナルシシズムとサディスト要素はかなり少ない。サイコパス要素はまずまずあると思っているので、つとめて共感はするように努力している。うわキモっ俺!)

どう考えてもおかしい人が、上司や部下、同僚(特に1,2年先輩くらいの、直接の上下関係ではないけど上級職位くらいの人への対処が一番困るかもしれない)で、そういう人がいたら、この本を読んで、そして後半部分をもうちょっと読み込んだら役立つかも。
しかし、アメリカの人間関係と日本の人間関係は少し違う部分もあるから、100%役に立つわけではない…かな。

*1:プラスサディストを加えてダークテトラッドともいうらしい

『アリエナイ医学事典』

オススメ度 100点
エビデンスのない世界で正しいことするとチート扱いされるんだなあ度 100点

アリエナイ医学事典

アリエナイ医学事典

以前に「悪魔が教える願いが叶う毒と薬」という本でみかけた薬理凶室氏監修の、いわゆるトンデモ医学史本。
halfboileddoc.hatenablog.com

トンデモ医学の歴史は結構いい本がでている。ちょっと前に高評価したこの本もそうだ。
halfboileddoc.hatenablog.com
おそらく、医学は、18世紀から21世紀で、むちゃくちゃ進歩している。短期間で医家の常識はどんどん塗り替えられていて今に至るので、そりゃそういう常識の塗り替えを何代か前に遡ると、それはもう、ごっつう面白い医学常識になってしまうのである。

この本は、今でも民間にまことしやかに伝えられている伝承のルーツにせまっている好本。

基本的には、病院以外の場所、飲み屋街とかそういう悪所で医療関係者が話しかけられるくだらない質問、みたいなのがあるけど、そういう類のサブカル的医療知識を、まあまあまともな視点で、しかしエンタテイメント性を失わずに描写している。

ブルーベリーが目にいいとか、コーラは骨を溶かすとか、よく病院以外の場所で語られるホントか嘘かの医学知識もあるし、シモ関係の医療ネタ、例えば前立腺マッサージ、強制射精、子宮口処女、大正時代の性教育、浣腸の歴史とか。サドル外傷、処女厨など、飲み屋で話せば受けるような知識のオンパレード。

しかし、あまり知られていない人物の偉業:未熟児を救った謎の男、クーニーとか、魚からインスリンを抽出していた福屋三郎とか、「木で作った人工呼吸器を作っていたレイノルズとかに触れられているのは好感がもてるし、ビタイチ興味がない読者に対し、教育学・疫学の概要をさらりと紹介するなど、通読すると結構面白い。

トンデモな題材を扱っているけど、調理法はまとも。
愛のエプロン」のような、普通の題材を狂った調理法でやる面白さではなく、昔の「探偵ナイトスクープ」にあった「靴料理」みたいなアプローチってことだ。
myfavoritegoods.net

といって、林先生の調理シリーズがこのWebsiteに残っていましたが、20以上シリーズ化されてるんですね……
これだけ編集したDVDほしいな。

『理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!』

オススメ度 100点
シン・ゴジラ度 100点

期せずして感染症ウィークみたいになったが、最後は、これも12月に刊行された、『8割おじさん』こと西浦教授の本。
コロナ騒動の初期から緊急事態宣言までの喧騒の中で、西浦教授の身に起こったことが書かれている。

コロナについては、現代を生きているなら、皆大なり小なり大きな影響を受けたはずだ。
ダイヤモンド・プリンセス号の一件から、徐々に全国に感染が広がり、そして緊急事態宣言がだされるあたりの異常な雰囲気はみな覚えていると思う。この本は、「8割おじさん」の視点でその当時の喧騒を描いたもの。

冒頭にも書いたが、『シン・ゴジラ』感が満点だ。複雑な官僚機構の中で、目的に合致した組織がない場合、徒手空拳でワーキンググループを作らなければいけない。クラスター対策班は、そういった経緯で作られ、不十分とは言えない体制の中データをだし、そしてその予測結果を踏まえて、政府に様々な提案をしてゆく。

いろいろな団体を作って、ブレインストーミングをして、というプロセスは、非常にスリリングで、読んでいて引き込まれるものがあった。
読んでいて感じたのが、西浦先生の、人柄。
科学者らしい、率直で真っ直ぐな考え、そして、チームの構成員に対する目配りとリスペクトもすごい。
論文を量産する科学者あるあるなのかもしれないが、Acknowledgementを書き慣れている雰囲気がすごくある。集まったメンバーへの言及なども、敬意を常に込めて、紹介されている。科学者でもアクの強い人は、「俺が一番頭がよくてすべてのことを知っている」みたいなエゴな感じが、ついつい隠しきれない人は結構いるのだが、西浦先生は、まあ理論疫学という武器を持っているからかもしれないが、非常に「俺が俺が」感からは無縁の印象を受けた。

あと、この人がみる、尾身先生像ね。
西浦先生はものすごく頭は切れる方だけれども、どちらかというと学者然としてナイーブさがある人だけど、尾身先生は政府や官僚を相手に渡り合って一歩も退かないし、妥協と落とし所をさぐってゆく、とんでもないタフ・ネゴシエーター
尾身先生ってやっぱりすごいんだよな…と思うし、その尊敬がいや増しになる一冊だと言えるだろう。

それにしても第三波が待ったなしできている昨今。
政治と専門家との足並みも、むしろ初期はうまくいきすぎたのだろう。
最近は日本のお家芸であるマネジメント不足による混乱が散見される。
今、この本を読むと、「ああ、第一波の感染被害が少なかったのは、この人達が頑張って、短時間でウイルスの感染様式の特徴を洞察し、それにあっている対策をアナウンスできたからなんだよな」と思えること請けあいである。
アメリカや中国のチームとくらべて、日本は予算額も、政府のバックアップも貧弱な中で、よくこれだけのチームを作り上げることができたと思う。三密というコンセプトができるまでの経緯も書かれていた。
hanjukudoctor.hatenablog.com
しつこいようだけど、これまた上げておく。三密というコンセプトを樹立できた洞察力が、このクラスタ対策班にはある。
決して、第一波での日本は、ラッキーパンチではなく、この人達の努力と洞察力あってこそだと思う。


タイトルは、内容のテンションと本当にあっているのかな?と思ったが、本文はとてもおもしろく読めた。
5年後に振り返って読む場合、どういう感想になるのかわからないけど、今年前半の「答え合わせ」としてとても興味深い。
『8割おじさん』こと西浦教授の人となりも十二分にうかがえるアツい本である。

『感染症と文明』

オススメ度 80点
教科書度 100点

感染症と文明――共生への道 (岩波新書)

感染症と文明――共生への道 (岩波新書)

前回は、今をときめく現役の峰先生が記者と対談したものを文字起こしにしたものだった。
現在の感染症学とワクチンの最前線の話で、非常に興味深い内容だった。
halfboileddoc.hatenablog.com

しばらく感染症しばりでいきます。
一方、この本はコロナ禍の初期に話題になった本。同時期にカミュの『ペスト』も話題になっていた。
halfboileddoc.hatenablog.com
『ペスト』は漫画『リウーを待ちながら』を読んだきっかけで読んだんだった。

感染症について、その歴史をわかりやすく語っている。
どちらかというと教科書に近いくらいの総説。

人類の歴史の中で、感染症というものは大きな位置を占めていますよ、という話。
そりゃまあそうだ。名著『銃・病原菌・鉄』でも、文明を駆動する諸因子に、感染症が大きな力を果たしたことは名言されている(題名の中にはいっている)し、我々の学ぶ世界史日本史でも、疫病の流行が、歴史の力動線として作用しているのは明らか。

銃・病原菌・鉄 上巻

銃・病原菌・鉄 上巻

halfboileddoc.hatenablog.com


そもそも狩猟民族では、少人数でしか会しないため、急性感染症が蔓延するコミュニティの規模にならないのだという。
人畜感染症を除けば、ヒトーヒト感染症は、定住民になって初めて人類は直面したことになる。

定住民は人口密度が高い非衛生的な住居で住むために感染症が蔓延しやすい。
その分死亡率も増加するのだが、定住生活ゆえの高い繁殖率で補ったらしい。
しかし、両民族が出会うと、免疫のない狩猟民族は定住民の持ち込んだ感染症でバタバタと倒れ絶滅の危機に瀕してしまう。

旧大陸では、こういう繰り返しに勝ち残った民族が、着々と感染症のレパートリーを増やしてゆく。
新大陸では、それほど民族の出会いがなかったため、感染症のレパートリーはあまり増えなかった。

新大陸発見→ヨーロッパ諸国の新大陸の植民地化も、簡単にいえば旧大陸VS.新大陸で、旧大陸感染症の勝利なのである。
ヨーロッパ諸国に蔓延していた感染症には新大陸の住民は免疫がなかった。
そのためなんと9割以上の人間が死滅したので、スペイやポルトガルも少人数で侵略することができた背景もある。
その他、カースト社会、も疫病の存在化で、集団を分離するための策であった可能性があるらしい。*1
ニュートン万有引力の存在に思い立ったのも、ペスト大流行で大学が休学になって田舎で静養しているときらしいし。
ペスト、天然痘マラリア・黄熱病などは人類史に大きな影響を与えている。

* * *

第一次世界大戦中に世界中に大流行した「スペイン風邪」のことにも触れられている。
これは今回の新型コロナウイルスにも類似点が多く、この本がコロナ禍で話題になったきっかけだった。

スペイン風邪は第三波までの流行期があったこととか、感染の蔓延と弱毒化のTrade-Offなど、今回の感染流行にも通じる重要なヒントが散りばめられている。
日本でも大きな被害を出したが、スペイン風邪で最も被害が大きかったのは、インド・アフリカ諸国だったそうだ。
実は今回の新型コロナの世界的流行でも、南北問題は厳然として立ちはだかっているようでもある。もはやアフリカやインドには観光で行くことさえできないわけで、そこで何が起こっているかは、うかがい知ることはできない。

過去を振り返っても、今の新型コロナウイルスに解決が示されるわけでない。
世の中は相当変わっているから。
しかし感染症についての普遍的な理解がほしい時には、こうした教科書的な事項は知っておいて損はないとは思った。

*1:逆に今回のコロナのような疫病は、社会集団の分断化を引き起こしかねないということを示唆しているわけだ。

『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』峰宗太郎・山中浩之

オススメ度100点
冷静度 100点

ばぶ先生こと峰宗太郎先生の本。
Twitterで噂になっていたので読んでみた。

うーん、なるほど。これは……。

うん。とりあえず読んで損はないね。
今年に入ってからツイッターを始めいろんなSNSに流言飛語が飛び交っていたが、この一年の喧騒を総括し、コロナウイルスについて総括できる一冊だと思う。

確かにこれ一冊読んでおけば、2020年のコロナウイルスについてのあらましの、トンデモじゃない議論が全部載っていますね。
そして、ワクチンについても、免疫学についても、めちゃめちゃわかりやすい。
対談形式ということもあるが、それを除けても、理解しやすいですね。
刊行が比較的最近(12月1日。11月のデータも載っている、ホヤホヤの本だ)

そして、今からの「第三波」が、正念場(むしろ第一波くらいに考えたほうがいい)という謂いに、やはり覚悟を固める必要があるのだな…とは感じた。
新しいワクチンのメカニズムについては全然知識がなかったので、ウイルスヴェクターを利用したmRNAワクチンというものだったんだ…というのは新鮮でした。


本の一部には、前から自分が言っていたことも同じ意見があって、ちょっとうれしかった。
hanjukudoctor.hatenablog.com
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終章では、「メディア・リテラシー」そのものに対する意見もあったりして、そこもSNSやワイドショーの流言飛語に右往左往されがちな現状について警鐘をならしてくれている。
我々は医療に関しては専門家なので、医療のトンデモのようなものは弁別することができるが、他の部門については、やはりリテラシーを働かせて、知識のインプットについては、よくよく考えてやらないといけないな、と思った。

『99%の人が気づいていないお金の正体』『「お金の流れ」はこう変わった』

「お金」関係二冊。

以前に「あり金は全部使え」という本もだしていたが、ホリエモンこと堀江貴文氏の主張は一貫してぶれない。
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お金に振り回されるのではなく、お金の多寡は「信用」の多寡であることをきちんと理解しろ。
お金だけがあっても何も役に立たない。コミュ力をもっていれば、お金がなくてもお金がある人のように行動できる。
お金はあとからついてくる。
(このへんの主張は岡田斗司夫の「信用通貨」というのと似ている)

昔にくらべてストックそのものの価値は相対的に下がっている。これは通貨においても同じことで、フローがことさら称揚される世の中ではあるなと思った。
注意したいのはコロナなどの、予測不能な災害リスク。
しかし実体のストックがない企業は、こういうイレギュラーな災害には弱い。逆にいうと、そこさえ乗り切れるだけのストックがあれば、まあ問題ないと思われる。
ホリエモンチャンネルとかNewspicksとかも含め、堀江氏の考えかたは、容易にアクセスできるので、興味があれば、見てみるといいだろう。


こちらは「お金」という用語でついでにあげてみたが、あまり繋がりはない。
これは少し古い本で2012年の刊行。
さすがに今は常識化しているようなことも語られている。
世界の地域格差が解消し、グローバル経済は各国の人工ベースに回帰していく(つまりアジア・アフリカが有利になってくる)。
しかし2020年の時点で、この2012年の未来予測「こうすれば日本はよくなる」的な提案のほとんどは実現されておらず、日本のグランドデザインが変わらない(変えるような意思決定システムがうまく機能しない)ことが、やはり国家低迷の原因だよなあ……と、暗澹たる気持ちにはなった。