オススメ度 90点
2000年代のホリエモン=お金 という間違ったパブリックイメージが妨げになる度 100点
- 作者: 堀江貴文
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2019/06/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この前の移動力(これは長倉さんの本だが)も合わせると、
halfboileddoc.hatenablog.com
- 有り金は全部使え。貯金なんかしたっていいことなんか何もない。
- とりあえず、定住生活をやめろ。
ということになる。
結論からするとかなり乱暴だが、考え方のプロセスやその理由を説明してくれると、なるほどと思える。
というか、現在の日本人の大多数が思い描いている「普通の生活」。
今の日本人はこれが当たり前に続くなんて思っているけど、今後の世代も変わらないなんてありえない。
だから、日本の制度疲労や今後も変わらない意思決定の遅さ(特に政治においてもだが、経済の世界の意思決定も遅い)を考えると、ちょっと極端かもしれないが、これくらいの荒療治が必要かもしれない。
我々は変わらないといけない。
適応しないといけないのだから。
* * *
それこそ、世の中の変化の潮流が100年単位から20-30年単位に加速したのが昭和後期。
(だからこそ、時代の変化を感じにくい伝統的な手工業・農業などが不人気化した)
しかしいまや21世紀の変化の単位は10年くらいである。
5年、10年で、かなり色々なことが変わる。
だから、かつてのシステム、20才前後の資質で階級のふるいわけを行い、それ以降は階層流動のないシステムはうまくいかない。
公務員のキャリア・ノンキャリア、や学歴社会のシステムは、そのためにチューンナップしたものだから、もはや現代では、スピード感が足りない。
つまりは「いっぱい受験勉強をしていい学校に入ると一生安泰」という前世代の図式は完全に崩れている。
人生のいくつかのポイントで、自らのレベルアップすれば、次のステージに進むことができる。
進めなければ、そこでキャリアは止まる。
そういう社会では、社会人になった時点で、その次のレベルアップ(それは個人の能力であったり、友人関係などの社会資本であったり、様々な面からのレベルだ)を自らの手でマネジメントする必要がある。
社会人になったらOKではなく、学び続けて、付加価値をつけてゆく必要がある。
ホリエモンの言っていることは、この時代の潮流を正しく指摘している。
前世代からみると、ホリエモンの言葉は乱暴に思えるかもしれない。
しかし現代に適応するには、それくらいの覚悟が必要だ。
やり方を変えろ。
というメッセージだ。
乱暴な物言いには「自分の経験のためにお金を使わない人間がなんと多いことか!」という
ホリエモンの苛立ちも反映されているのだろう。
ただ、ホリエモンこと堀江氏の主張で、僕たちが忘れてはいけないのは、
ホリエモンのいう「金」は、当然自分で稼いだ金だ。
(もちろん、勤労によって稼いだ金も、投資によって得た金も、区別はない)
多分、親から受け継いだ財産とかを全部蕩尽しても、
自分で得た金という感覚が乏しければ、ヒリヒリせずお金を使うのであれば気づきも経験も得られないだろう。
「金を使え」ったって、得るものがないと意味がない。*1
ホリエモンの主張は、実は拝金主義の批判でもある。*2
どちらかというと、現代は資金需要は余り気味。
投資家は有望な投資先に困っているくらいだ。
お金そのものの価値は今後も低くなる。
お金を溜め込むよりも、自分に投資して、さらに上を目指せ。
ということだ。
それにしても、
「下手な考え休むに似たり」という慣用句が、これほどしっくりくる時代もあるまい。
いや「休むは下手な考え以下」だな。