半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『アリエナイ医学事典』

オススメ度 100点
エビデンスのない世界で正しいことするとチート扱いされるんだなあ度 100点

アリエナイ医学事典

アリエナイ医学事典

以前に「悪魔が教える願いが叶う毒と薬」という本でみかけた薬理凶室氏監修の、いわゆるトンデモ医学史本。
halfboileddoc.hatenablog.com

トンデモ医学の歴史は結構いい本がでている。ちょっと前に高評価したこの本もそうだ。
halfboileddoc.hatenablog.com
おそらく、医学は、18世紀から21世紀で、むちゃくちゃ進歩している。短期間で医家の常識はどんどん塗り替えられていて今に至るので、そりゃそういう常識の塗り替えを何代か前に遡ると、それはもう、ごっつう面白い医学常識になってしまうのである。

この本は、今でも民間にまことしやかに伝えられている伝承のルーツにせまっている好本。

基本的には、病院以外の場所、飲み屋街とかそういう悪所で医療関係者が話しかけられるくだらない質問、みたいなのがあるけど、そういう類のサブカル的医療知識を、まあまあまともな視点で、しかしエンタテイメント性を失わずに描写している。

ブルーベリーが目にいいとか、コーラは骨を溶かすとか、よく病院以外の場所で語られるホントか嘘かの医学知識もあるし、シモ関係の医療ネタ、例えば前立腺マッサージ、強制射精、子宮口処女、大正時代の性教育、浣腸の歴史とか。サドル外傷、処女厨など、飲み屋で話せば受けるような知識のオンパレード。

しかし、あまり知られていない人物の偉業:未熟児を救った謎の男、クーニーとか、魚からインスリンを抽出していた福屋三郎とか、「木で作った人工呼吸器を作っていたレイノルズとかに触れられているのは好感がもてるし、ビタイチ興味がない読者に対し、教育学・疫学の概要をさらりと紹介するなど、通読すると結構面白い。

トンデモな題材を扱っているけど、調理法はまとも。
愛のエプロン」のような、普通の題材を狂った調理法でやる面白さではなく、昔の「探偵ナイトスクープ」にあった「靴料理」みたいなアプローチってことだ。
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といって、林先生の調理シリーズがこのWebsiteに残っていましたが、20以上シリーズ化されてるんですね……
これだけ編集したDVDほしいな。