半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『モテる構造』山田昌弘

オススメ度 90点
思てたんと違う度 100点

『モテる構造』という本だから、現世利益型のHow To。あけすけに言ってしまえば「モテ方指南」みたいな本だと思っていた。
が、全然違っていて、男のモテ方と女のモテ方には構造的に非対称性がある。その非対称構造は何から来ているのか、ということを考察している本。
バイアスのかかっていないフェミニズム、みたいなジェンダー本だった。

男女の恋愛に関する社会的制約や構造的非対称性について。
そこはやはり山田昌弘、さらりと重要なことを書いている。
ぜひこの分野を語りたければ一度読んでいて損はないだろう。

以下、備忘録
・男同士を比較するときには、力関係や序列などが重要視される。女性から男性をみると、この力関係が、モテの基準になるが、男性から女性を見た場合は、美=性的魅力が問題なのであり、女性同士の力関係というものはあまり重視しない。
・女性は、当該男性の客観的な地位や力、そして、その男性がどれだけ自分に関心があるかで男性を選択する。
・男性は女性が自分に対して興味があるかよりも物理的に女性を独占(専有)しているかどうかが重要
・男らしい女性は許容されるが女らしい男性は排除される
イデオロギー的には男性優位であるが、男性の性アイデンティティは不安定
・ホーナイらの理論(女の子は主たる育児者である母親と同じ性別であるというアイデンティティを持つが、男の子は母と同じ人間集団に属していないという形で自分の性自認をもつ)
・男性をDoingする性、女性をbeing である性と規定(ナンシー・チョドロウ)
・男性同士の性的親密性を禁止する形で集団を維持し結束を強める(ホモ・ソーシャル)。女性は男性集団と違って競争による上下関係ではなく親密性で構成される傾向がある。
・女性は親密性を築くのにわざわざ異性関係を築く必要はない
・男にとって女は不可欠だが、女にとって男はいなくてもいい
・ケアの身体性と性差
なんて身も蓋もないんだ……