半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『The Red Altas:恐るべきソ連の世界地図』

オススメ度 50点

前回に引き続いてソ連シリーズ第二弾。Kindleで購入したが、リアル書籍の方が面白かったのかもしれない。

簡単にいうと、冷戦時代の遺物。
冷戦が終わり、超大国が築きあげた秘密のインフラは無用となった。しかし最近になってその多くが再発見され、別の目的に転用されている。
たとえば、アメリカ中西部に作られたミサイル格納庫は、今は改修されてマンションになっているらしい笑。
そういう、東側の冷戦の遺物に、膨大な地図がある。世界最大級の地図事業、その全貌はわかっていないが、作成された膨大な地図もとに、地図愛好家が、掘り起こしていく本。

今はGoogle Mapとか、衛星写真を誰でも見れるようになってしまったので、このような地図の価値そのものが落ちてしまったが、そもそも軍事情報としてもっとも大事なのは地図だ。
世界をどこまで制覇するつもりだったのかはわからないが、ソ連はほぼすべての周辺諸国の地図を様々な縮尺で作成している。
興味深いことに、観光マップと違って、名所・旧跡の類は描かれていないかわりに、軍事拠点や重要インフラ、水脈、河川の流速、遮蔽物になりうる建物などはきっちり書き込まれていることだ。
要するに、軍事作戦地図に耐えうる地図として作られていた、ということである。
同じ地図でも、観光や移動を目的とする場合と、軍事行動を目的とする場合には、全く世界は違って見える。
そういう面白さがこの地図にはある。

まあ我々の生活でも、生活がかわることによって、街の見えてくるものが全く変わってくる、
なんてことはよくある。例えば、クロスバイクを買って、自転車に乗り始めたら、今まで気にしたことなかった坂道の傾斜や、自転車であぶなくないような歩道と車道の間隔であるとか、自転車を停めやすいお店とか、パンク修理できそうなお店の場所が、自分の頭の中の地図に組み込まれたりしますね。
「カラーバス効果」に近いような話だ。
今回のRed Atlasは、自分たちの街が、「攻めてくるソ連軍」視点でみたらどうなるか…という話。
それだけの話なんだけども。