オススメ度 100点
ムカデ度 100点
老残という言葉が似合う。
バブル世代の波頭で砕け散った男、桜玉吉氏。
人格形成期に「しあわせのかたち」に出会った団塊ジュニア世代とすれば、桜玉吉氏がどんな生活になろうが、かれの去就を見続けざるをえないというか…
そんな感情もあり、ぽつりぽつりと出てくる新作をフォローするのである。
halfboileddoc.hatenablog.com
(振り返ってみると、ちょうど一年前にも桜玉吉のことを書いている)
今では伊豆の山奥の一軒家に住む、悠々自適…というか世捨て人みたいな生活を送っている桜氏。
方丈記のような、寂寞な中に生活を楽しむ様子がみられて、
ああ、生きるということは、こういうことなのかな。と思う。
娘・元嫁、姉など今まではあまり語られなかった家族の話とかもぽろぽろ出てくる感じが、時代を感じさせる。
過去は割と語りやすいものだからね。
この方は、ネット上に絶対自身の写真は出てこないし*1プライベートが謎に包まれているという点では、村上春樹よりもさらに徹底してはいる。生き方としてはサリンジャーに近いんじゃないかと思うくらいだ。
ちょいちょいでてくるムカデの話は、田舎暮らしにはつきものではあるなあと思った。
私は神戸の医学部を出た後家族のつてで岡山の大学の医局に入り、半年後二年間島根の田舎の病院で研修医をやった。
ムカデにさされるひとは結構いたけれども、そこの名物部長の昔話。
彼曰く、山間部の病院に勤めていた時、その地域には、「ムカデのおじさん」というのがいたのだという。
住民はムカデに刺された時に、病院に行くか、ムカデのおじさんのところに行くかの二択なのだという。
ムカデのおじさんは、ムカデを大量に焼酎に漬け込んだ「ムカデ汁」みたいなものを持っていて、それを患部につけてくれると腫れがひくのだそうだ。
ほんまかいなーと思いつつ、当時『ダウンタウンのごっつええ感じ』の『トカゲのおじさん』というのがあった記憶もあり、ムカデのおじさんに会ってみたいなーと思った炉辺話。いや、あれ、マムシだったかな?
ごっつええ感じ傑作選 トカゲのおっさん2