半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『他人が幸せに見えたら深夜の松屋で牛丼を食え』

リアルさに涙。

裏モノJAPAN編集部が編集した、そこらへんのおじさんに聞いた人生訓。
市井のフツーの人に聞くと、いわゆる自己啓発本とかにあるような話じゃない訓示を教えてくれる。
それは、ある種「ちいせぇ話」なわけだけど、「成功者バイアス」でクレンジングされていない、貴重な話ではある。

ライフハック的なもの(特にちょっとしたモテテクみたいなもの)は面白く読めたし、中にはすごく深みを感じるものもあった。

  • 「一度っきりの人生」っていう言葉に押されて大勝負したら大失敗。人生は一度きりだけど、失敗したら人生はそこで事実上終わるの。一度きりだからこそ安定を手放しちゃいけない。
  • 「やらない後悔よりもやる後悔」って言葉もあるけど、やって後悔は取り返しがつかないけど、やらない後悔というのはいずれすぐ忘れちゃうのだから、やるべきか否かで迷ったときはやらない方を選ぶ。

みたいな「失敗者」からの魂の叫び。
夢に賭けてチャレンジして失敗する人は結構多いけど、そういう人には語る機会は与えられない。
若者には「成功者」のアドバイスしか届かない。
敗者からのアドバイスは、こういう「悪所」でひっそりと語られるんだろうな。
なんだか、「はてしない物語」の『元帝王たちの都』を思い起こさせる話。

結局なんだかんだいって、みな自分の人生を必死に生きているのだ。

勝ち人生も負け人生も、勝ちでも負けでもない人生(多くの人はそう)を生きて、そこで得られた教訓というのは、成功者のものと同じく、語るに値するものなのだと思う。
僕も診察室で患者さんの人生の話聞くの好きだなあ。

なかなかいい本だと思ったが、文章がそのまま画像化されているので、ハイライトとかつけられないのが残念。

参考

halfboileddoc.hatenablog.com
アンダーグラウンドからの魂の叫び、という意味では、これが近いのか……も。

halfboileddoc.hatenablog.com
これは、むしろそういうストリートではない、まっとうなアドバイス集。
halfboileddoc.hatenablog.com
糸井重里氏が、各界のいろんな人に聴いた話。これも今回取り上げた本よりは相当ちゃんとしている話ばかり。