これは、逆に自分のありようについて迷う契機になったな。
職場の空気をよくしたい。離職を防ぎ、成長を促したい。
職員一人一人の自発性を尊重し、提案のできる人に成長してほしい。
なんて思っていて、そのために色々悩んだりやってみたりしていた。
ここ数年は。
そういうビジネス書も沢山読んだ。
最近のそういう本で導かれている組織のあり方というのは、
「ティール組織」「チーミング」みたいなヒエラルキーが希薄で民主的に意見を出し合い協働的な組織。
しかし、この本は、そういう自分のありように冷水を浴びせる内容だった。
・上司・部下に良好な人間関係などNG(むしろ弊害が大きい)
・部下は上司の頭越しに直談判などはしてはいけない。トップも、上司を介さずに社員の言うことを聞くべきではない。
・部下は経営者視点などもつ必要ない
・部下の不満を解消しない 部下のモチベーションを気にしてはいけない
・管理職は現場のやり方に口をださない
・頑張ったからといって褒めてはいけない
・部下と一緒に飲みに行ってはいけない
ビジネスでは結果がすべて。
プロセスを重視することも重要だが、プロセスに重きを置くと、プロセスにひきずられる。
プロセスは上司の指示に従うが結果を伴わない部下と、プロセスは従わないけど結果を出す部下のどちらを評価する?
部下と人間関係を深めるのも大事だが、人間には相性というものがある。
どうしても相性に評価がひきずられることはよくある。
部下と上司では与えられている条件が違うので、視点は当然ことなる。
そこを部下の視点にすり寄って、本末転倒してしまうのはむしろよくない。
なるほど。確かにそうなのかもしれない。
私は、コロナ禍の中、会食もなく、職員一人一人との交流が減ってしまったことを反省していたが、それはそれで、このスタイルにおいては間違ってはいない、ということになる。
上司というものは、淡々と粛々と業務を遂行することを部下に命し、それをチェックする必要があるということか。
ふうむ。なら、それはAIでもいいのかもしれない。
確かに「ティール組織」的なあり方に憧れていた。
しかしそれは、組織の構成員の多くが同等の力量を有し、意思決定でもある程度対等性が保証できる場合に限るのかもしれない。
現状がそうではないのに、形だけそれをやっても、結局サファリパークの檻を外してしまうような豺狼が跳梁跋扈する職場になるだけなのかもしれない。
人間の性善説と性悪説についての洞察が必要だ。
おそらく日本的医療・介護組織では、現実ヒエラルキーを構成せざるを得ない状況がある。
構成員の資質や年代が多様すぎるからだ(いわゆる大都市に存在する「会社」ってやつは、ホワイトカラーの集団で、一般人口分布の下側をばっさりカットして構成されていることを我々は忘れてはいけない)
そういうヒエラルキーにおいては、この本のような態度はやはり大事なんだろうな、とは思う。
ちなみに紹介した本は、課長の立場と会社経営の視点は別であるが、書かれている内容は見事に同じだ。
著者の安藤広大氏の主張は一貫して、ぶれがない。
こうやっていろいろ勉強したさまざまなスタイルの、すぐできそうなところとか、耳障りのよい都合のいいところだけを切り貼りすると、多分うまくいかない。よくよく考え抜いて、自分のスタイルに還元する必要がある。
難しいなー。
長所と短所は紙一重でもある。
組織風土も、トップとしてのありかたも、いろんなスタイルがある。
メタ視点で様々なスタイルを紹介しているものがあればいいのだが。あ、「ティール組織」はそうか。